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チャップマンが復帰する日は近いが、ヤンキースのクローザーには戻れない!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)May 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 左のアキレス腱を痛め、アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)は、5月24日から故障者リストに入っている。だが、復帰は近づいている。6月14日には、ヤンキー・スタジアムのマウンドに立ち、投球を行った。このままいけば、今月下旬には戻ってくることができそうだ。

 2012年のシーズン序盤から、チャップマンは、クローザーとして投げてきた。シンシナティ・レッズ、ヤンキース、シカゴ・カブス、そして、再びヤンキース。今シーズンも、離脱するまでに、セーブ失敗を記録することなく9セーブを挙げた。通算セーブは315を数える。

 ただ、ヤンキースでクローザーを務めることは、もうないかもしれない。

 直近の5登板はいずれも点を取られていて、シーズン防御率3.86は、これまでのワースト、2011年の3.60よりも高い。それだけなら、一時的な不調ということもあり得るが、スタットキャストによると、2014~17年に4シーズン続けて平均100マイル以上を記録した4シームが、今シーズンは平均97マイルに届いていない。昨シーズンと比べても、1.5マイル遅い。奪三振率は9.64。これまでは、どのシーズンの奪三振率も12.30を超えていた。

 チャップマンを欠くヤンキースでは、クレイ・ホームズが試合を締めくくっている。今シーズンは、開幕から29試合に登板し、30.2イニングを投げて1失点(自責点1)。防御率は0.29だ。前の投手が残していった11人の走者も、1人しか生還させていない。7ホールドと11セーブを挙げ、セーブ失敗は皆無だ。奪三振率は9.39ながら、平均97マイル近いシンカーでゴロを打たせている。スライダーも含めた全体のゴロ率は、スタットキャストとファングラフスのどちらでも、80%を上回る。

 ホームズが崩れない限り――さすがに防御率はもう少し高くなるだろうが――クローザーから外す必要はなく、アーロン・ブーン監督もそうはしないだろう。

 現在の年齢は、チャップマンが34歳、ホームズは29歳だ。また、チャップマンがヤンキースと交わしている3年4800万ドルの契約は、今シーズンの終了とともに満了する。ホームズがFAになるのは、2024年のオフだ。ちなみに、今シーズンの年俸は110万ドル。チャップマンの14分の1に満たない。

 ホームズが開花したのは、最近のことだ。ドラフト指名は、2011年の9巡目・全体272位。その7年後にようやくメジャーデビューしたが、最初の2シーズンは、2018年が防御率6.84、2019年は防御率5.58。2020年は1登板にとどまり、昨シーズンも、7月下旬にヤンキースへ移るまでの44登板は防御率4.93だった。その後、25登板で防御率1.61を記録し、ワイルドカード・ゲームでも2イニングを無失点で終わらせた。

クレイ・ホームズ(左)とカイル・ヒガシオカ May 27, 2022
クレイ・ホームズ(左)とカイル・ヒガシオカ May 27, 2022写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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