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マンガ・アニメ・ゲームの国際拠点作りの新方針とは? 「MANGA議連」に聞いてみた(後編)

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
※写真はイメージ(写真:イメージマート)

(※本稿の「前編」はこちら)

 ・マンガ・アニメ・ゲームの国際拠点は本当に作れるの? 「MANGA議連」に聞いてみた(前編)

法制化は断念、新たな方法で施設の建設実現を目指す

2017年11月に超党派の国会議員で結成されたMANGA議連(最高顧問:麻生太郎議員、会長:古屋圭司議員)が建設を目指す、マンガ・アニメ・ゲームの国際拠点やアーカイブを可能とする施設「メディア芸術ナショナルセンター(仮称)」。

MANGA議連では、長らくその実現に向けた法制化を進めていたが、共産党が「国会図書館は立法府であって行政府ではないのに、それが行政府の下に入るのは三権分立に反する」を根拠に反対の姿勢を崩さないためペンディングが続いていた。

そこでMANGA議連は、2022年12月に開催した役員会で法制化を断念し、当初の方針を大きく変える決断を下した。

では、今後はどのような方針で施設の建設を目指すのか? MANGA議連のアドバイサーである弁護士、桶田大介氏からの意見もふまえて作り上げた新たな方策は、以下のような「2段階方式」の実施だ。

「2段階構想」による「メディア芸術ナショナルセンター」実現方法の見直し案(※出典:2022年12月7日開催のMANGA議連役員会資料)
「2段階構想」による「メディア芸術ナショナルセンター」実現方法の見直し案(※出典:2022年12月7日開催のMANGA議連役員会資料)

つまり、新方針のポイントは…、

①2009年に中止になった「国立メディア芸術総合センター(仮称)」の基本計画に準じた形で、法改正が不要で予算措置だけで施設が作れる、つまり国会図書館を枠組みから外したうえで「メディア芸術ナショナルセンター」を先に建設する。

②施設の完成後、デジタルアーカイブも可能にするための著作権法などの改正を進める。

の2段階に分けたことである。

「2009年に中止になったときの骨格は維持しつつ、それに準じたセンターを作る分には法制化は不要なので、まずは施設を作っておいて、その次にデジタルアーカイブを可能にするために必要な立法措置を進めていきます。

 この『2段階方式』は、文化庁の全面的な支援も受けています。もし『メディア芸術ナショナルセンター』が完成すれば『第7の国立美術館』として、文化庁のテリトリーが増えるメリットもありますから」(古屋議員)

新たな「2段階方式」による、古屋議員の構想は以下の図のとおりだ。

古屋議員作成による新スキーム案(※古屋議員本人より提供)
古屋議員作成による新スキーム案(※古屋議員本人より提供)

5年後の完成を目指して再始動中

2009年に中止となった「国立メディア芸術総合センター(仮称)」に端を発する「メディア芸術ナショナルセンター」の建設は、紆余曲折を経てようやく実現するためのプランが固まった。では、新方針に沿って順調に計画が進んだ場合、いつ頃に施設は完成するのだろうか?

古屋議員に尋ねたところ「まずは6月頃に決める予定の『骨太の方針』に、前回よりもさらに踏み込んだ内容を盛り込むようにします。基本設計を来年度に実施して、そこから予算の確保や工事などが順調に進めば、だいたい5年後になるのではないかと思います」とのことだった。

「建設がここまで遅れた以上、焦って中途半端なものを作ろうとせず、専門家の方々を加えてどういう形にするのかをまとめ、それから先行している中国や韓国などの状況もしっかり視察したうえで立派なものを作ろうと考えています。

 これはあくまで私のイメージですが、日本のマンガやアニメ、ゲームは世界一ですから、国内外のファンが必ずここに寄る定番の施設にしたいですし、ほかの国内の施設もバーチャルで見られるようにしたいですね。

 『秋葉原』が『AKIBA』と呼ばれるように、施設の名前も世界中で知らない者はいないほどの、親しみが持てるネーミングにしたいと考えております。データベースがちゃんとあって、アーカイブも閲覧もできる、最新のデジタルと昔のアナログが融合した、このような取り組みは日本人が一番得意ではなないかと思います。

 今後もセンターの設立に向けた情報は、メディアを通じてどんどん出しますので、もし何か前向きなアイデアやご意見があれば、ぜひ皆さんからコメントをいただければと思います。いただいたコメントは、我々が真摯に受け止め精査したうえで、関係各所や専門家、大学などとも協力したうえで検討します」(古屋議員)

マンガ、アニメ分野では、すでにアーカイブを推進する博物館がいくつも誕生しているが、ことゲームに関しては、来春のリニューアルオープンを目指す「日本ゲーム博物館」を除けば、同様の機能を持った施設がいまだに存在しない。こうしている間にも、ゲームは日々劣化、あるいは故障、サービス終了などの理由で廃棄、散逸が続いている。

貴重なゲームの文化遺産や産業を守るためにも、一日も早く「メディア芸術ナショナルセンター」を完成させる必要があるのではないだろうか。

もし完成すれば、日本が世界に誇れるマンガ、アニメ、ゲーム文化の発信、およびアーカイブの一大拠点となるであろう「メディア芸術ナショナルセンター」。着工に向けて準備を進めるMANGA議連の動向は、今後も引き続き当サイトを通じてお伝えしていきたいと思う。

MANGA議連会長の古屋圭司衆議院議員(※筆者撮影)
MANGA議連会長の古屋圭司衆議院議員(※筆者撮影)

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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