小3男子が遊んだ「ドラクエ3」の評価 スマホネイティブにはどう映る?
ドット絵と3DCGを組み合わせたグラフィックでリメークされた「ドラゴンクエスト3」。ゲーム雑誌「ファミ通」の販売ランキングによると、パッケージの販売数だけで推定90万本(PS5版とスイッチ版=2週間)と好調ですが、ファミコン版を遊んだコアファンと思われる層からは厳しい意見も……。一方でスマホゲームを遊ぶ子供には、どう映ったのでしょうか。「読書嫌い」の小学3年生の息子が「遊びたい」と言い出したので、ドラクエ“デビュー”をさせてみました。
◇「読書嫌い」の息子 “挑発”に乗る
「ドラクエ」の愛称で知られる「ドラゴンクエスト」シリーズは、自身が主人公となって世界を脅かす敵を倒すために冒険をするRPGです。1988年にファミコン向けに発売された「3」は、4人でパーティーを組み、さまざまな謎を解いていく内容。ソフトを求める人の列が何キロにもなったことが当時ニュースになるなど、大変な人気となりました。
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息子は「ダダサバイバー」や「にゃんこ大戦争」などのスマホゲームに加え、YouTubeも大好き。そして今どきの子らしく「マインクラフト」もお気に入り。一方で、宿題は最低限するものの、読書は積極的でありません。そのため、文字量の多い「ドラクエ」は、勧めても遊ばないと予想していました。
しかし「読書嫌い」のままでは、この先に苦労しますし、進路を狭める可能性があります。親の本音としてはゲームはいいとしても、もっと読書をしてほしいのですが、次善の策として文字に慣れてほしい。そう考えて「ドラクエを遊ぶと、文字を読むのが楽になって頭が良くなるかも」(※科学的根拠はありません)とダメ元で“挑発”してみました。すると乗ってきたのです。
なお、頭をフル回転させてもらうため戦闘は「オート操作にしない」という条件を付けました。
◇ファミコン版の画面に「しょぼ!」
最初のキャラクターの性格診断で「なきむし」と判定されてしまい、(図星で)「腹が立つ」とつぶやき、家族は大笑い。キャラクター作成は問題なく、冒険に出かけました。最初はテキストを適当に読み飛ばそうとしていましたが、それではゲーム内容が理解できなくなると理解したようです。それでも投げ出すことなく、コツコツとゲームを進めていきました。
調子に乗って先に進みすぎて、強い敵を相手に戦闘で全滅をすることもあったのですが、総じて楽しい様子。「何が楽しい?」と質問すると「戦闘とストーリーかな」と答えました。このあたりは世代が変わっても同じでしょうか。逆に、マップを隅々まで踏破する探検的な要素は「好きじゃない。面倒」とのことでした。
ちなみに36年前のファミコン版の「3」の画面を見せると「しょぼ!」と言われてしまいました。「36年前に当時の子供や大人たちは、このグラフィックに熱狂した」と説明しても、信じてくれません。なおリメーク版のグラフィックは「キレイ」とお気に入りのようです。
◇デジタルネイティブにはほど良く
ただし、「ドラゴンクエスト3」はCEROレーティングB(12歳以上推奨)で、小3には大変な部分もあったようです。本人の希望で、ゲームの文字をひらがな表記でなく漢字にしたのですが、漢字の読み方を聞かれることもありました。また言葉の言い回しも多彩で、言葉の意味も良くわからない部分があったようです。それでも、分からないものは彼なりに推測したり、文字も意味も良く追っていました。それだけ物語に引き付けられるものがあるわけで、さすが「ドラクエ」というところです。
そして「〇〇はどこにあるの?」などゲーム内容の質問は盛りだくさんで、親子のコミュニケーションにもなりました(攻略サイトの存在は教えていません)。なお「戦闘はどうすればうまくいくの?お手本を見せて」と言うので、HPの表示が真っ赤になるようなギリギリの戦闘をすると、「危ない!」「死ぬからダメ」とさけんで、とても怒られました。分身キャラが「戦闘不能」になるのは抵抗があるようです。
ボス戦には苦戦気味で、「(勝つ自信がないから)オート戦闘をしてもいい?」と許可を得ようとしたり、「どうやって倒せばいいか教えて」と助けを求めていました。デジタルネイティブの小3男子には、やや難しいもののほど良いバランスのようで、オープニングの「ドラゴンクエストマーチ」がお気に入りとなりました。ともあれ「読書嫌い」の息子が、ここまでのめり込むとは少々驚きました。
◇リメークの存在 新たに遊ぶきっかけに
多くの記事が出て、感想もあちこちで語られているように、今回の「ドラクエ3」は賛否両論があるのも確かです。何せ社会的ブームになった名作で比較対象があるだけに、誰もが一家言あるはず。言い換えれば、元々完成度の高いゲームに追加要素を入れて、再度絶妙のバランス調整をするのは、相当大変なのでしょう。
一方、今回のような大規模なリメークが、新たに「ドラクエ」を遊んでもらう「きっかけ」になっているのも確かでしょう。そして既存ファンも大事ですが、その手の意見を強く反映させると、往々にしてコンテンツは難解になり、その結果ファン層が先細りします。コア層を満足させながら、どうやって新規層を捕まえていくか。誰もが満足することは難しくとも、名作の大規模リメークでは、今後も課題になりそうです。
ただし個人的には、「ドラクエ」はなるべく多くの人がエンディングまでたどり着けるゲームであり、かつスマホネイティブにも楽しめる作品であってほしいのです。今や、誰もがゲームに時間をかけて遊べる時代とはいいづらいのですから。