中国スマホ市場、ついに4年前の水準に低下 明暗分かれた中国ビッグ4
米国の市場調査会社IDCが、先ごろ公表したレポートによると、今年1〜3月期の世界スマートフォン出荷台数は3億3430万台となり、1年前から2.9%減少した。
IDCは以前のレポートで、昨年10〜12月期のスマートフォン出荷台数が1年前から6.3%減少したと報告していたが、1〜3月期も同様に前年実績を下回った。
高価格製品の登場で買い替え周期が長期化
その要因としてIDCが挙げているのは、世界最大のスマートフォン市場である中国の低迷。同国における出荷台数は、1〜3月期に1億台を下回ったが、これは、2013年10〜12月以降初めてのこと。
同国をはじめとする世界の主要市場では、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)からスマートフォンに乗り換える人、つまり、初めてスマートフォンを購入する人が、極めて少なくなっているという。
過去1年〜1年半、主要メーカー各社はこぞって、高価格帯旗艦モデルを市場投入した。しかし、消費者は、あまり新奇性が見られない、それら高価格製品に大金を支払うことを躊躇していると、IDCは指摘。これに伴い、スマートフォンの買い替え周期が長期化しているのだという。
中国市場、2割減と大幅な落ち込み
別の市場調査会社であるカナリスも同様の報告をしている。
それによると、今年1〜3月期の中国におけるスマートフォン出荷台数は9100万台で、1年前から約21%減少した。
中国では、この期間、上位10メーカーのうち8社の出荷台数が前年実績を下回った。同国では、ビッグ4と呼ばれる地場のスマートフォンメーカーがある。ファーウェイ(華為技術)、オッポ(広東欧珀移動通信)、ビーボ(維沃移動通信)、シャオミ(小米科技)である(図1)。
- 図1 中国スマホ市場メーカー別出荷台数シェア(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
カナリスによると、このうち、1〜3月期の出荷台数が、1年前のそれを上回ったのは、ファーウェイとシャオミのみ。ただし、ファーウェイの前年同期に比べた伸び率は2%程度。これに対し、シャオミは同37%と大きく伸びている。
また、オッポとビーボの出荷台数は、同10%ほど減少。つまり、市場全体の出荷台数低下傾向に逆らって、業績を大きく伸ばしているのは、シャオミだけということになる。
シャオミ、国外市場でも好調
シャオミは、世界市場でも好調だ。前述したIDCのレポートによると、今年1〜3月期におけるシャオミの世界出荷台数は、2800万台で、1年前から87.8%増加した。
同社はこれまで、中国を主要市場とする販売戦略を取ってきたが、最近は、国外にも力を入れている。IDCによると、シャオミは、今年1〜3月期、全スマートフォン出荷台数に占める中国向けの比率が、初めて50%を下回った。
同社は最近、インドと東南アジア市場に注力している。とりわけインドはシャオミにとって中国に次ぐ、大きな市場となっている。
(このコラムは「JBpress」2018年5月8日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)