なでしこジャパン入りを目指す「なでしこチャレンジキャンプ」。女子W杯の“秘密兵器”は現れるか(2)
1月28日から31日まで、「なでしこチャレンジ」のトレーニングキャンプが静岡県のJ-STEPで行われた。
なでしこジャパン入りを目指す「なでしこチャレンジキャンプ」。女子W杯の秘密兵器は現れるか?(1)
なでしこチャレンジは、なでしこジャパン(日本女子代表)で即戦力になれる選手の発掘を目的としたキャンプで、高倉麻子監督の下では3度目の開催。今回は、4ヶ月後に迫った女子W杯に向け、なでしこジャパン入りを目指す23名の選手たちが積極的なアピールを見せた。
ここでは、合宿中の選手コメントを掲載する(写真は全て筆者撮影)。
監督・選手コメント(一部抜粋)
FW 南野亜里沙(ノジマステラ神奈川相模原/合宿2日目)
ーーなでしこチャレンジは2度目ですが、感触はいかがですか?
1回目よりは慣れてきたかな、と思います。自分が「なでしこジャパンに入りたい」という気持ちを持つことがすごく大事だと思いますし、サッカーでは個の部分がすごく大事になってくるなと実感しています。
ーー去年はリーグで10得点(得点ランク2位)でしたが、今年、自分のプレーで特に強化を考えているのはどんな部分ですか。
今まではポストプレーが多かったのですが、代表では前を向いて仕掛ける力が求められるので、そこはシーズンを通して意識していきたいと思っています。コンディションはいい感じで上がってきています。
ーー代表には異なるタイプのFWがいますが、なでしこジャパンに入れたら、どんなプレーをイメージしていますか?
周りとうまく連係したプレーです。ワンタッチプレーなどで、イメージが共有できるように意識しています。
ーーペナルティエリアの狭いスペースで、相手の逆をとるドリブルで仕掛けてシュートを打っているイメージもあります。
ペナルティエリアに入ったら、抜け切らなくても、コースがあれば狙うようにしていますね。最初にゴールを見ています。
ーーリーグでの目標はありますか。
去年より得点したいですし、引き続き二桁得点したいですね。
MF 仲田歩夢(INAC神戸レオネッサ/2日目)
ーーチャレンジ合宿は初めてですが、参加してみてどうですか。
数年前に23歳以下のカテゴリーで大会に参加して以来、こういう代表の活動からは期間が空いていたので驚きもありました。でも昨年はチームで試合に出る時間が長くなって、点も取れたり、結果が出せるようになった部分で(選出に)つながったのかなと。自分でも例年と違う実感はあったので、この合宿でインパクトを残したいと思って来ました。
ーー昨年は試合に出続ける中でリズムをつかんで調子を上げていったように感じますが、変化のきっかけはあったのですか?
調子の波はありましたけど、ピッチに立てる時間が長くなったことが自分にとっての自信になりましたね。スタメンで試合に関われるようになったのは終盤でしたが、それも自信になりましたし、責任感もより一層出てきた中で、プレーにも良い変化があったと思います。
ーー鮮やかなFKでゴールをアシストした試合もありました。プレーの幅が広がった手応えもあったのではないですか。
INACでは(中島)依美さんがFKのキッカーなので、それまでは練習もあまりしていなかったのですが、(代表で)依美さんがいない試合で任せてもらうことがありました。そこで練習をして、積極的に取り組んだ結果が出たと思います。
ーー今年はW杯イヤーです。INACは代表選手が多い分、代表に入るために必要なこともわかりやすいと思いますが、今年はどんなことを目標にしますか?
こうしてチャレンジ合宿に参加するチャンスをいただいたり、チームでも長く試合に出られるようになったことをつなげていきたいです。そのためにはまずチームの活動が大事だと思います。今年はINACもメンバーが変わりますし、シーズンの最初は、チームづくりの大事な時期ですから。まずは開幕戦のメンバーに入っていくことを意識していきたいと思います。
ーー代表は前が結構激戦区だと思いますが、A代表に入っても、ここだけは通用させたいと思うのは、どんなところですか?
前への勢いはストロングポイントだと思いますし、左足のクロスとかシュートですね。ポジションは縦に突破できる左サイドが得意ですが、右サイドでは、中に切り込んだ時にいいショートパスやミドルパスを出せるように練習しています。
DF 土光真代(日テレ・ベレーザ/3日目)
ーー積極的に声を出してチームを盛り上げていますね。この合宿ではどんなことを意識してプレーしていますか?
チームでもいつもこうなので、そのままやっていると「うるさい」と言われますね。みんなが静かなんだと思います(笑)。スピードや強度を上げながらも頭を使ったり、ポジショニングやパスの質を大切にしています。声は出せるので、そこは継続していきたいですね。
ーー今年、自分の中で強化したいと考えている部分は?
昨シーズンは、試合に出る時間がそれまでよりも長くなりましたが、最初はベンチスタートや途中出場が続いていました。コンスタントに出ていないと代表には呼ばれないと思うので、まずはベレーザでしっかり試合に出ることです。海外の選手と戦う時は守備が大事になってくるので、国内でしっかり守備の能力を高めていきたいです。(ベレーザでセンターバックを組む)イワシ(岩清水梓)さんには、「声ひとつでパスコースを半分ぐらい消せる」ことと、「自分が奪いやすい状況を自分で作れ」と言われています。前のポジションの選手たちが守備が上手なのでボールを奪いやすいですが、声で動かして、狙いを絞ってより奪いやすくしたいです。
ーーベレーザは最終ラインをかなり高く設定する分、ファーストタッチの質も重要になると思いますが。
永田(雅人)監督の下で、ドリブルの練習にも取り組んでいます。側面が30メートルぐらいの正方形に全員が入って、一人ずつボールを持ってドリブルしながらタッチする場所を指定されたり、ターンしたり。かなり地味な練習なので、みんなブーブー言ったりもするのですが(笑)、その成果が試合で出ることが多いなと感じます。
ーー今、一番の目標は何ですか?
W杯やオリンピックに出ることは小さい頃からの夢です。もちろん、そこで終わりではないですが、こうしてチャレンジの合宿に参加させてもらって、その夢を掴むことができる場所にいると思うので、目指していきたいですね。
MF 西川彩華(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース/3日目)
ーーチャレンジ合宿は2回目ですが、前回はボランチで、今回はセンターバックで紅白戦に出場していました。手応えはいかがですか?
どこで起用されても、ボールを失わないことが今の自分の課題です。前回はパスミスについての指摘を受けたので、今回の合宿ではミスが少なくなったかな、と思います。
ーー紅白戦は、縦パスで京川舞選手の先制ゴールをアシストしていました。急造チームで連係プレーは難しいと思いますが、その中で大切にしていることを教えてください。
どのポジションでも自分の長所であるロングフィードをアピールできるように、試合が始まる前にFWの選手に、「ボールを持ったら必ず見るので裏を狙って欲しい」と伝えるようにしています。今日は(ゴールした京川)舞さんにも伝えていたので、その形で得点につながって良かったです。
ーー最終ラインで、常に広い視野を保つようなボールの持ち方が印象的でした。
オープンにボールを置く意味を大部ヘッドコーチからも強調して教えてもらっているので、そこは意識しています。
ーー今年はW杯イヤーですが、今回の合宿ではどのようなことをアピールしたいと思っていますか?
6月のW杯はもうすぐなので、今は自分にできることをしっかりこの合宿で出し切りたいです。また、この合宿で得たものを、リーグの1、2週目の連戦でどれだけ出せるかだと思っています。高倉監督はきっと見にきてくださると思うので、そこで結果を残せるように、言われたことをしっかり試合で表現することが今の目標です。そこで代表に入れるようにベストを尽くします。
MF 栗島朱里(浦和レッズレディース/3日目)
ーー代表につながるチャレンジ合宿に参加してみていかがですか?
この場に選ばれたいと思い、そのためにはチームで頑張らなければいけないと思いながらプレーしていたので、選ばれたことにびっくりしましたけど、「チャンスだ!」と思いました。
今、自分が持っている実力以上は出せないので、その良さを最大限に出したいと思っています。
ーーW杯やオリンピックにつながるカテゴリーですが、そういったことは自分の意識の中にありますか?
そうですね。選ばれてからは、より、現実味が出てきました。
ーー紅白戦はボランチでプレーしていましたが、プレッシャーの中でもボールを奪われないプレーが印象的でした。周囲との関係性でどんなことを意識していますか?
自分のプレースタイル的に、「自分が自分が」といくタイプではなく、そこは自分に足りない部分だと思っています。かといって、合わせることばかりを考えているわけでもないですね。周りを見ながら、自分が立つべき位置を調整しています。(ボランチでの)ポジショニングは相方のボランチの選手の動きに合わせていますし、サイドバックの時は、ボールが入る前にサイドハーフの選手の位置を確認しています。ボランチは特に、首を振ることが必要ですね。
ーー今年、個人としての目標を教えてください。
チームではタイトル獲得したいのと、去年は1点しか取っていないので、もっと点を取りたいです。
GK 松本真未子(浦和レッズレディース/最終日)
ーー松本選手は2017年にA代表に初招集されましたが、昨年、特にどんな部分で成長できたと感じていますか?
自分のプレーに自信を持てるようになったことでプレーに余裕が生まれてきたなと感じています。同じチームになでしこの池田(咲紀子)選手がいるので目標が明確に立てやすいですし、その目標を超えれば、自分も代表のレベルにいけると思うので、そこは継続していきます。
ーーGKは他のポジションよりも試合に出るためのハードルが高いと思いますが、代表でその壁を越えるためにはどんなことが必要だと思いますか。
安定感でしょうか。波がなく、常に安定したプレーができることです。私はミスを引きずってしまうことが課題ですね。そこまで考えすぎずに、自分のプレーを続けられるようにしたいと思っています。
ーー試合中はどういう風に感情をコントロールしていますか?
試合中は平常心を保つようにしています。良くても、悪くても顔に出さず、ポーカーフェイスでいれば、相手はこちらが何を考えているか分からないじゃないですか(笑)。その結果、良いプレーをした時でも、それが当たり前だと思えるようになれば、さらにその上にいけると思います。
ーー今後の取り組みとしては、長い目で見てどんなGKになりたい、と考えていますか。
私の一番の長所はシュートストップだと思います。キーパーは試合をこなして成長するポジションだと思うので、まずはチームでコンスタントに試合に出て、なでしこジャパンに定着できるようになりたいですね。世界で戦う時は強烈なシュートが来ますから、それを防げるように力をつけたいです。