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菅野と涌井の前に「開幕8連勝」を記録した投手たちは、ストリークをどこまで伸ばし、どこで途切れた?

宇根夏樹ベースボール・ライター
西勇輝 NOVEMBER 15, 2014(写真:アフロスポーツ)

 今シーズン、菅野智之(読売ジャイアンツ)と涌井秀章(東北楽天ゴールデンイーグルス)は、一度も黒星を喫することなく、どちらも8勝を挙げている。

 同じシーズンに2人が開幕8連勝以上は、2009年の川井雄太館山昌平以来。彼らから数えて、無敗のままシーズン8勝に達したのは、菅野と涌井が9人目と10人目だ。

筆者作成
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 継続中の2人を除く8人のうち、2010年に8連勝の能見篤史(阪神タイガース)と2013年に24連勝の田中将大(現ニューヨーク・ヤンキース)、2015年に9連勝のリック・バンデンハーク(福岡ソフトバンクホークス)は、そのシーズンを0敗で終えた。ただ、3人のなかで、シーズンを通して投げ続けたのは、田中だけだ。能見は、5月から9月にかけて4ヵ月の長期離脱。バンデンハークは、出遅れと外国人枠の関係で、初登板が6月14日と遅かった。

 他の5人中、連勝を8からさらに伸ばしたのは、2009年に11連勝の川井しかいない。8勝目を挙げた後、川井は続く3登板も勝利投手となった。その後は0勝5敗ながら、11連勝は中日ドラゴンズの球団記録だ。

 川井より先に8勝目を挙げた館山は、その直後の5回5失点(自責点5)こそ味方の援護で黒星を免れたが、続く登板も6回7失点(自責点6)と崩れ、連勝が途切れた。この試合は、6月26日。川井の8勝目は7月5日なので、今シーズンと違い、2人が揃って開幕8連勝を継続中だった時期はない。

 2014年の西勇輝(現・阪神)は、最初の8登板で8勝を挙げ、この時点の防御率は1.03だった。9登板目も1失点(自責点1)で完投。だが、オリックス・バファローズは中日に完封され、西に黒星がついた。2016年の千賀滉大(福岡ソフトバンク)は、8勝目を挙げた後、6回無失点と7回2失点(自責点2)の2登板とも勝敗はつかず、その次の6回5失点(自責点4)で黒星を喫した。2018年の菊池雄星(現シアトル・マリナーズ)は、8勝目の直後に5回6失点(自責点6)で敗戦投手になり、2016年5月25日から続いていた東北楽天戦の連勝も、13でストップした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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