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【姫路発ローカルニュース】クマだけじゃない「シカ被害」も深刻!住宅街の貸農園が餌場と化すリアル

栗栖成之防災士×探偵ライター
photo AC

全国でクマの出没が相次いで、農作物だけでなく人的被害も起きています。数年前から東京都内でも、野生のサルが出没しています。

筆者が住む姫路市でも、農作物を食い荒らす「シカ被害」が深刻になっており、住宅街の真ん中ですぐそばをJRの列車が頻繁に行きかう貸農園でも、シカの食堂と化してオーナーや農家さんが困っています。

航空写真で確認すると本当に住宅街の真ん中に位置する

出典:Googleマップを加工
出典:Googleマップを加工

Googleマップの航空写真で該当の貸農園を見ると、上記のように住宅街の真ん中にあることが分かります。

しかも、すぐそばにはJR山陽本線が通っていて、列車が通過する際には大きな音がします。それでも、シカには害がないことが分かっているからか、列車を全く気にすることなく作物を食い荒らしています。

目撃情報から侵入ルートを予想してみた

この地域内で「シカを見た!」という方は、筆者を含めて多数います。その方たちの目撃情報を元に、貸農園までのシカの侵入ルートを予想してみました。

すると、幅の広いアスファルトの道路を使っていることが分かり、人を怖がっていないと思われます。なぜか、山からの最短ルートとなる細い道は通っていません。

実際のところは発信器を付けてGPS追尾しないと分かりませんが、広い道を好んで利用しているようです。

涙ぐましい農園の対策!

筆者撮影
筆者撮影

貸農園では農家さんが手づくりした高さ1.2~1.5mの防護柵が、水路の擁壁からJRの線路の防護フェンスまで、約50m張り巡らされています。

しかしながら、この高さを飛び越えて侵入したり、壊して侵入したりとやりたい放題。その度に農家さんは防護柵を修理しているのです。

「シカのために一生懸命作物を育てているようなもの・・本当にいい加減にして欲しい!」と、憤るのもよく分かります。

貸農園の入口に用水路があり飲み水にも困らない

筆者撮影
筆者撮影

なぜ、この貸農園に頻繁に現れるのか考えてみると、農園の入口には用水路があり常に水が溜まった状態です。

しかも、メダカなどが生息するほどなので水質も問題なく、農家さんも作物の水やりに利用しています。

そのため「食べ物はある・飲み水はある」と、本当にシカのレストラン状態となるため、毎晩のようにやってくるのでしょう。

アーバンアニマル対策は国主導でないと対応できない!

イラストAC
イラストAC

これまで山で生活していたシカやイノシシ、サルやクマなどが、人間の住む住宅街に我が物顔で現れる時代がやってきているのかもしれません。

幸いにも人的被害はまだ起きていませんが、野生のシカがいつ通りすがりの住民を襲っても、おかしくないほどの高い出現率になっています。

確かに動物保護は重要な課題ですが、人間の生活と天秤にかければどちらに傾くのかは分かっているはずです。自治体でも罠の貸し出しなど、対策を行っていない訳ではありません。

しかしアーバンアニマルは鳥獣保護管理法などが関連するため、環境省などが主体にならないと根本的な解決には至らないはずです。

地方自治体に丸投げするのでなく国が主体となって、早期にアーバンアニマル対策を行って欲しいと願うばかりです。

防災士×探偵ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!フリーでの執筆活動をメインにしつつ、探偵として地域の困りごとも解決している。

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