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依頼人の嘘を裁くアンチヒーローは実在した!7年前に起きた「弁護士vs筆者」の序章

栗栖成之防災士×探偵ライター
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日曜日に最終回を迎えた「アンチヒーロー」では、弁護士や検察の「正義と悪」について考えさせられました。

ところで、7年前に筆者は会社が依頼した弁護士2名と、戦うこととなったのです。

しかし、弁護士は依頼人である会社側の嘘を裁き、筆者に有利な状況を作り出してくれました。

当時を振り返ればその弁護士は、筆者にとって正にアンチヒーローだったといえるでしょう。

そこで、7年前にどのようなことがあったのか、実際のメモや内容証明書類などを用いて、当時の状況を2回に渡ってお伝えします。

激務に耐え28年勤めた会社に裏切られる

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既に筆者のプロフから現在は「探偵&防災士」であり、前職では防災業務に携わっていた会社員であったことを、ご存じの方もいるでしょう。

実は、筆者は7年前に業務過多によって自宅で倒れ、救急搬送された後に会社に出向くことなく退職に至っています。

その際に、会社の対応が非紳士的であり、筆者や家族を貶める行動に出たこと、そして筆者が倒れたことで「会社が被った損失を支払うことも検討する」と、筆者でなく代理で診断書を提出した家内に、当時の社長が言い放ったのです。

簡単に経緯を説明

●2017年4月6日:深夜を超えるサービス残業が続き、体力的・精神的に限界で自宅のトイレで倒れる
家内が救急車を呼び救急病院へ
重度の副鼻腔炎と過労によるストレスと診断される
起き上がることができない状態で翌日会社に連絡
休職願いを提出⇒会社側が受理

過度なサービス残業は問題ですが、ここまでは休職届を受理するなど、やりとりはスムーズな状況でした。

しかし、5月1日に家内が代理で診断書を提出するために会社に出向いた際に、当時の社長から次のような、いわれのない言葉をぶつけられたのです。

●残業、残業と会社に残っているけれど、仕事をしていたのか疑問がある!

●仕事を引き継いでいないから、誰も仕事ができない!

●社長になった途端にこんなことをされて困る!

●筆者が倒れたことで会社に損害が出ているので損害賠償も考えている!

●うつ病の診断書なんか、頼めばどの病院でも書いてくれる!

そう、筆者は過労によるストレスから「うつ病」になってしまっていたのです。

そのため、自分で動くことができず、診断書の提出を家内が代理で行ったのですが酷いものです。

そんなことを言う会社に留まることはできず、5月10日に31日付で退職届を提出。取り敢えず受理されたものの、それからがトラブルの連続でした。

以下のメモは当時ドクターから「毎日の気持ちをメモするのも治療の一環になる」と言われていたので、記録していたものです。

7年経過して改めて見返すと、当時の悔しさが蘇ります。

筆者による当時のメモ
筆者による当時のメモ

筆者による当時のメモ
筆者による当時のメモ

筆者による当時のメモ
筆者による当時のメモ

当時提出した診断書

これは当時会社に提出した、実際の診断書です。

筆者作成
筆者作成

この診断書を見た当時の社長は「こんな診断書、お金さえ払えばどの病院でも作ってくれる。仮病としか言いようがない!」と、家内に言い放しました。

現状を知っている家内にとって、どんなに屈辱で悔しい言葉であったか筆者は涙を流すしかありませんでした・・

傷病手当は会社が止めていた!4月11日からは有給も認めない無給状態

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通常なら有給扱いにて生活費を補てんするなど、仕事によって倒れた社員に手厚いサポートをするはずですが、そうではありませんでした。

「あなたには、有給休暇はありません」と、4月11日から無給状態に。そのため生活費は会社が勧めた傷病手当金のみです。

ところが収入の頼みの綱である傷病手当が、5月末になっても支給されなかったのです。

筆者が倒れたのが自宅であるため、会社から労災ではなく傷病手当の受給をするよう指示されました。

倒れた当時は精神的ストレスが大きく、深く考えることができなかったため、言われる通りにしています。

しかし、傷病手当金支給申請書には3枚目に事業主証明が必要であり、この提出をかたくなに拒んでいたのでした。

傷病手当の診断内容は認めない。ついに心療内科にまで虚偽だと電話で抗議!

4月分の傷病手当の申請を5月に行ったのですが、書類3枚目の事業主証明はできない旨を家内に連絡してきました。

理由は申請書類4枚目の、医師による症状についての記載内容が気に入らないとのこと。事実と異なるといい張り、このままなら退職金さえも出さないと、まるで脅しのような状況です。

診断内容には「上司から責められたことが原因」と、事実が記載されていますが、これが事実と異なるので表現を変えろと言うのです。

その書類については筆者ではどうすることもできず「対応できない」と伝えると、ついには心療内科にまで虚偽の記載をしたと電話する始末。

これには流石に主治医からも「あの会社なら退職して正解です」と言われたほどです。

労基署から内容証明の作成をアドバイスされる

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このような状態が半月以上も続き、筆者も家内も会社の横暴ぶりにうんざり。このままだと、5月分の傷病手当も支給されない恐れがあります。

そこで、会社宛てに内容証明を送ることを決意しました。

実は、6月に入り社長が言った「倒れたことによる社員への損害賠償」が可能なのか、労基署に相談していたのです。

その際には「そんなことは絶対にできないから安心していい」と回答をもらいました。

そのときに労基署の主任監督官から「何かあったら相談しておいで」と言われていたので、現状を報告して相談に乗ってもらったのです。

すると「一度、内容証明で私物の返還と、傷病手当を正当に申請する旨を警告するといい」とアドバイスを受けました。

そこで、早速ネットで書き方を調べて内容証明を作成したのです。

内容証明は誰でも作成して送付が可能

内容証明と聞くと弁護士が作成する書類のイメージが強いですが、そうではなく規則さえ守れば、誰もが作成・送付が可能な書類です。

横書きの決まりは次の通りで、Wordで作成が可能。必要部数は3部で、各部に押印が必要です。

  • 1行20字以内、1枚26行以内
  • 1行13字以内、1枚40行以内
  • 1行26字以内、1枚20行以内

この決まりに沿って、実際に会社宛に筆者が作成した内容証明が以下になります。

筆者作成
筆者作成

このように一見すると普通の文書ですが、決まりに従っていれば、内容証明として送付が可能なのです。

ただし、郵便局内にて複数の局員によって間違いがないか確認するため、30分ほど時間が必要です。

問題がなく無事受領されると、以下の「書留・特定記録郵便物等受領証」が発行されます。摘要欄を見て頂くと分かりますが「内容証明」と、手書きで記載されます。

書面では傷病手当金5月分となっていますが、正確には5月請求分で対象期間は「4月11日~30日」です。

筆者作成
筆者作成

実際に相手側に届くと「郵便物等配達証明書」が自宅に届きます。

筆者作成
筆者作成

このように内容証明は弁護士だけが作れるのでなく、少し知識があれば誰でも作れる文書です。

実際に弁護士に依頼すると数万円必要ですが、言いたいことだけ伝えるなら自分で作っても問題ありません。

私物はともかく生活費となる、重要な傷病手当金が支給されないため、動くしかありませんでした。

夫婦で理不尽な会社と戦うことを選択!

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うつ病の原因には会社からのパワハラ的な扱いもあることから、ドクターから「とにかく逃げるか、辛いけど原因と向き合って戦うか、2つの選択肢がある。」と言われていたので、筆者は後者を選び家内と夫婦2人で、理不尽な会社と戦うことを決めました。

今回は「序章」として、過労で倒れた筆者から会社への宣戦布告ともいえる、内容証明の送付までをお伝えしました。

次回は『夫婦で挑んだ7年前の「弁護士2名vs筆者」本編!依頼人の嘘を裁いたアンチヒーローとは』をお伝えします。

筆者からの内容証明を受けて、会社が弁護士2名を代理人に任命。その弁護士から送られてきた実際の内容証明、対決シーン、そして会社の弁護士が筆者にとって、アンチヒーローとも言える状況を作り出してくれた事実をお伝えする予定です。

この記事を最後までご覧いただいた読者の方に、本当に心から感謝いたします。もしも記事にご興味のある方は、ぜひリアクションで筆者に伝えて頂けると嬉しいです!

筆者が伝えたいこと

既に7年が経過して、当時の社長も引退しているでしょう。当時の社長や会長への悔しい思いは消えることはありません。

ですが、現在の会社組織や元同僚への恨みつらみは存在しません。うつ病になったことで組織のなかで仕事ができないほど、精神的に追い込まれているため生きるのに必死だからです。

しかし、世の中にはもっと酷い仕打ちを受けている方も、多いのではないでしょうか。

そのような会社関係で悩んでいる方は、とりあえず労基署に相談することをおすすめします。

今回の記事が筆者と同様に、過重労働やパワハラで悩んでいる方の、お役に立てれば幸いです。

防災士×探偵ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!フリーでの執筆活動をメインにしつつ、探偵として地域の困りごとも解決している。

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