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令和の名勝負、仁和寺で始まる 竜王戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31)-△藤井聡太挑戦者(19)

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

「定刻になりましたので、第34期竜王戦七番勝負第2局の対局を始めてください」

 10月22日9時。立会人の淡路仁茂九段が対局開始の合図をしました。両対局者は一礼。京都府京都市・総本山仁和寺において▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 豊島竜王先手で、戦型は相掛かりに進みました。

 19手目。豊島竜王は中段に角を出ます。飛車を追いながら、角を四段目から五段目に進める新構想です。さすがの藤井挑戦者にとっても、意外な進行だったのか。あるいは想定の範囲内だったのか。それは終局後、藤井挑戦者に尋ねてみないとわかりません。

 コンピュータ将棋ソフト(AI)による事前研究が大きな要素を占めることになった現代の将棋界。

「少しのことにも、先達(せんだつ)はあらまほしきことなり」

 とは、将棋の盤上でも言えそうです。ただし将棋は事前研究をはずれて未知の局面となってから、真の実力が問われる競技とも言えそうです。

 22手目、藤井三冠は中央5筋に飛車を回します。それから8筋に銀を上がり、中段の角にプレッシャーをかけました。豊島竜王がどのあたり先まで研究しているのかも、終わってみないとわかりません。

 盤上は早くも難しい駆け引きが始まったところですが、対局は持ち時間8時間で2日制の長丁場。まだまだ先の長い戦いです。

 第1局は藤井挑戦者が先手。結果は藤井勝ちでした。

 両者の過去の対戦成績は9勝9敗のイーブンとなりました。

 豊島竜王の今年度成績は16勝13敗(勝率0.552)です。

 藤井三冠の今年度成績は34勝6敗(勝率0.850)です。

 タイトルを争いながら勝率8割5分は驚異的な数字です。

仁和寺は仁和4年(888年)に創建。時を経て令和の現在、竜王戦七番勝負の対局がおこなわれるようになりました。過去2局は以下の通り、いずれも豊島現竜王が勝っています。

2019年第2局 広瀬章人竜王●-○豊島将之挑戦者

2020年第3局 豊島将之竜王○-●羽生善治挑戦者

 両対局者は前日、仁和寺での対局について次のように語っていました。

豊島「私にとっては3年連続でこちらの場所で対局させていただいていて。本当に素晴らしい雰囲気の中で対局できるので、明日からの対局が楽しみです」

藤井「仁和寺は世界遺産であって、このような由緒あるところで対局できるとは光栄に思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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