台風28号発達も、シベリアは氷点下54℃
秋も深まり、木々が見事な彩りを添えてくれる時期になりました。暖気が影を潜めて、たびたび寒風がやってくるこの季節は、寂しさをも感じさせます。秋を使った諺も、切ないものが多くあり、例えば「秋の扇」などは、「秋になって使われなくなった扇」という意味の他に、「『飽き』られて男性の愛を失った女性」をも意味するのだとか。
本題から逸れましたが、このように秋は日本においては寒くなる時期ですが、南の海はまだまだ温かく、晩秋から初冬にかけてもたびたび台風が発生します。
危険な台風28号
現在発生している28号も、マリアナ諸島周辺で急速に発達する見込みで、来週には「非常に強い」勢力でフィリピンに最接近する可能性が出ています。中心気圧895hPaでフィリピンに上陸し、最大瞬間風速90m/sを吹かせた台風30号(ハイエン)も、2013年のこの時期に発生しました。28号の今後の進路が心配されます。
真冬並みの寒気
一方で、ユーラシア大陸はすでに真冬並みの寒気に襲われています。冬の天候を司るシベリア高気圧は、中心気圧1056hPaと非常に発達しており、シベリアには最寒期を超すような寒さがすでに襲っているのです。
26日、シベリアのベルホヤンスクでは、朝の最低気温が氷点下54℃まで下がりました。その前日、そしてその前々日も氷点下52℃を観測しています。この時期の最低気温の平均は氷点下40℃ですから、元から寒いとはいえ、それでも例年を15℃近く下回っています。
一般に氷点下50℃以下になると人の吐く息が耳の辺りで凍って、かすかに音を立てる「星のささやき」という現象が起きると言われています。さらに人やトナカイの姿は、体から出た水蒸気が凍って、霞んで見えるのだそうです。
ベルホヤンスクと言えば寒さの代名詞的な場所で、1892年2月5日に、北半球史上最低気温となる氷点下67.8℃を観測しています。さらに冬の最低気温と夏の最高気温との差が105.1℃もあって、世界一年較差が大きい場所としてもギネスブックにも登録されているほどです。昔は政治犯の流刑地であり、今も国内でもっとも人口が少ない町の一つだとか。妙に納得がいきます。
この季節外れの寒さは、28日には和らいで、最低気温は氷点下30℃と、20℃以上も上がる見込みです。