「おむすび」のスコッチエッグは「ごちそうさん」とはここが違う
「ごちそうさん」も「おむすび」も食事(消えもの)担当は広里貴子さん
朝ドラこと連続テレビ小説「おむすび」(NHK)の第12週では、結(橋本環奈)が栄養士として星河電器の社食で働き始めた。いろいろ壁にもぶち当たりながら、日替わりメニューの作成を任され、考えたのがスコッチエッグ。
朝ドラファンなら気付いた人もいるのではないだろうか。「ごちそうさん」(13年度後期)の第2週で試行錯誤して作ったメニューがスコッチエッグだった。とろり半熟の黄身が美味しそうで、ドラマを盛り上げた立役者のひとつであった。
「ごちそうさん」も「おむすび」も食事(消えもの)担当は広里貴子さん。
大阪局の朝ドラの食事といえば、広里さん。視聴者も出てくる食事がいつも楽しみだし、俳優たちもついつい美味しく食べてしまうと評判がいい。
制作統括の宇佐川隆史チーフプロデューサーによると、今回のスコッチエッグは「メニュー自体は既に脚本にあったのですが、この週の演出の盆子原誠が『ごちそうさん』に参加していたこともあって、形などは『ごちそうさん』を意識して広里さんと一緒に作りました。ただ今回は栄養士の結が作ったものですので、栄養やカロリーを考えた、実はバージョンアップされた一品になっております」とのことだ。
どこらへんがバージョンアップされたのかと聞けばーー
「肉は鶏肉を使い、ソースはキノコのあんかけにして、『ごちそうさん』の時(豚肉、トマトソース)よりヘルシーな一品となっています」
肉とソースが違うのだ。どっちも美味しそう。
「ごちそうさん」は第2週の時点では1922年、大正時代、洋食が日本で浸透してきた頃を描いていて、「おむすび」は第12週の時点で2009年、平成21年だ。80年近くの差があるのでスコッチエッグも随分進化したことであろう。
ちなみに、「ごちそうさん」第3週では主人公め以子(杏)がおいしいおむすびづくりに挑むエピソードがある。
体重計のメーカーの社食について書かれた書籍がベストセラーになった頃
さて、第12週の社食のエピソードを描くにあたり、「おむすび」制作チームはこの時代の国内の社食事情を調査して脚本づくりに臨んだ。
「局内の社食にも話しを聞きましたし、スポーツチームを持つ企業の社食と一般の社食の取材をしました。すると09年は、安さとボリュームに重きを置いた初期の社食時代から、管理栄養士や栄養士さんが作ったヘルシーメニューの時代へと変わっていく端境期であることがわかりました。体重計のメーカーの社食について書かれた書籍がベストセラーになったのもこの頃です。また08年には、中国の冷凍餃子事件をきっかけに日本でも食の問題が強い関心を呼び、国産品が再認識されました」と宇佐川さん。
「ごちそうさん」は和食オンリーから洋食文化が広がっていく時代を描き、「おむすび」は日本の食の転換点を描いているのだ。転換期を代表とするメニューがスコッチエッグであることが興味深い。
ところで、NHKの社食は安くて美味しいと言われている。大阪局(BK)は?
「大阪局(BK)の社食も美味しいですよ! 東京は人数が多い分、種類も多いですが、BKは数を絞って、でもツボを抑えたメニューになっています。私はBKに2年前から来ていますが、栄養バランスがよく考えられたヘルシーメニューです。先日は鰹のたたき丼という季節のメニューが美味しかったですね」
宇佐川さんたち制作陣も社食を食べて制作に励んでいるようだ。
連続テレビ小説「おむすび」
毎週月~土曜 午前 8時00分(総合)※土曜は一週間を振り返ります
/ 毎週月~金曜 午前 7時30分(NHKBS・BSP4K)
【作】 根本ノンジ
【主題歌】 B’z 「イルミネーション」
【語り】 リリー・フランキー
【音楽】 堤博明
【出演】 橋本環奈 仲里依紗 佐野勇斗 麻生久美子 宮崎美子 北村有起哉 松平健 ほか