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若きエースの復帰が遅れそうなヤンキースは、FAのサイ・ヤング賞投手と契約する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダラス・カイクル Aug 12, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ルイス・セベリーノ(ニューヨーク・ヤンキース)の復帰が、遅れそうな気配だ。4月8日に120フィートのロング・トスを行ったところ、状態が思わしくなく、再びMRI検査を受けるという。ニューズデイのエリック・ボランドをはじめ、ヤンキースをカバーするビート・ライターたちが、アーロン・ブーン監督のコメントとして、このニュースをツイートした。

 セベリーノは25歳の右腕だ。過去2シーズン続けて190イニング以上を投げ、2017年は防御率2.98、2018年は3.39を記録した。快速球とスライダーを武器に、両シーズンとも奪三振率は10.30を超え、与四球率は2.40未満。今年2月には、4年4000万ドルの延長契約を交わした。ところが、スプリング・トレーニング初登板の直前に肩の違和感を訴え、そのまま故障者リストへ入った。先日、「11人いる……故障者リストに。ヤンキースは緊急事態!?」で書いたとおり、復帰は5月上旬が見込まれていた。

 ヤンキースでは、セベリーノだけでなくCC・サバシアも出遅れていて、田中将大ジェームズ・パクストンJ.A.ハップとともに、ドミンゴ・ハーマンジョナサン・ローアイシーガの2人が、先発として投げている。

 サバシアは来週にも復帰する予定で、ハーマンとローアイシーガは計3先発の15イニングで自責点3だ。ロングリリーフとして投げているルイス・セッサも先発することはでき、AAAには、3月中旬にマイナーリーグ契約で入団した、ベテランのジオ・ゴンザレスがいる。ただ、頭数は足りても、長いシーズンを考えると、若きエースのセベリーノが長期離脱となった場合は、不安を拭えない。シーズン終了後に引退するサバシアは38歳。ハーマンとローアイシーガは計10四球を与えている。4月4日にAAAで先発したジオは、クレイグ・ビジオの息子キャビンにホームランを打たれるなどして、4イニングで8点を失った。

 セベリーノの穴を――完璧とはいかないまでも――埋めようとするなら、ヤンキースはダラス・カイクルと契約すべきだろう。カイクルはヒューストン・アストロズからFAになり、1年1790万ドルのクオリファイング・オファーを却下した後、どの球団とも契約していない。

 サイ・ヤング賞を受賞したのは4年前とはいえ、30歳の昨シーズンも、カイクルは200イニング以上を投げ、防御率3.74を記録した。奪三振率の低下――2015年は8.38、2018年は6.73――は少し気がかりだが、左のグラウンドボーラーという点は、左打者のホームランが多く出るヤンキー・スタジアムにフィットする。

 カイクルが求めているのは、クオリファイング・オファーの1790万ドルを上回る1年契約か、下回る年俸なら複数年の契約らしい。FOXスポーツのケン・ローゼンタールが、そうツイートしている。また、MLBネットワークのジョン・モロシによれば、カイクルは5日ごとに、実戦形式の練習で95球を投げているという。

 あと2週間足らずのうちに、ヤンキースは何らかの決断を下す必要がある。ジオの契約には、4月20日までにメジャーリーグへ昇格できなければ、オプト・アウトできる(選手から契約を打ち切ってFAになれる)条項がついている。ジオの昇格とカイクルの入団が、少なくとも同時期に実現することはないだろう。

 これまでの選手と同じように、ヤンキースに入団すれば、カイクルは鬚を剃り落とす。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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