なぜレアルにG・ジェズスやチュアメニ獲得の可能性が浮上しているのか?ベンゼマの“後釜”と若手への投資
フットボールの世界で、止まることは許されない。
2021−22シーズン、レアル・マドリーはリーガエスパニョーラとチャンピオンズリーグを制覇。2冠を達成した。
だがマドリーは、来季に向けて補強に動いている。ガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ)やオウリエン・チュアメニ(モナコ)獲得の可能性が浮上している。
G・ジェズスは、2023年夏までシティと契約を結んでいる。
シティはアーリング・ハーランドとフリアン・アルバレスの加入が決定している。とりわけ、ハーランドの獲得はG・ジェズスに影響が出るものと思われる。
ペップ・グアルディオラ監督は、長く「ゼロトップ」を使用してきた。CFを置かないシステムで、3トップの中央にベルナルド・シウバ、フィル・フォーデン、ラヒーム・スターリングといった選手を配置してきた。一方で、G・ジェズスに関しては、献身性と守備力が買われてウィングで起用されるパターンが増えていった。
■ベンゼマの後釜
マドリーは、カリム・ベンゼマの後釜を探している。ベンゼマは21−22シーズン、公式戦46試合44得点15アシストを記録。ヴィニシウス・ジュニオールと共に、文字通りマドリーの攻撃を牽引した。
一方、ベンゼマは22−23シーズンに35歳を迎える。先日、ルカ・モドリッチと一年の契約延長を行ったマドリーだが、徐々に世代交代を進めていく必要がある。
ただ、マドリーのG・ジェズスに関しては、問題が2つある。ひとつは、カンテラーノの成長に蓋をしてしまうことだ。21−22シーズン、カスティージャ(Bチーム)で30試合13得点をマークしたフアンミ・ラタサが、虎視淡々とトップチームの枠を狙っている。
そして、もうひとつは、E U圏外枠の問題だ。こちらが、より大きな問題である。現在、マドリーは、ヴィニシウス、ロドリゴ・ゴエス、エデル・ミリトンの「ブラジル人トリオ」がEU圏外枠の3枠を占めている。ヴィニシウスがEUパスポート取得に動いているものの、これが来年1月あたりまでズレ込む可能性がある。そうなると、G・ジェズスを獲得しても、嵌めるところがない。
■中盤の世代交代
カルロ・アンチェロッティ監督が高く評価しているG・ジェズスだが、獲得の可能性は高くない。対して、加入濃厚となっているのが、チュアメニだ。
チュアメニをめぐっては、マドリー、パリ・サンジェルマン、リヴァプールが獲得競争を繰り広げてきた。ただ、いま、ポールポジションに立っているのはマドリーである。
「チュアメニが何か優先順位を変えたとは思わない。3月の代表戦で、彼はより効果的だったかもしれない。しかし、彼は依然としてソリッドだ。継続的にプレーしてきた唯一の選手だ。当然ながら、彼はロボットではない。チュアメニは、自身のキャリアにおいて、重要な決断を下そうとしている」とはディディエ・デシャン監督のチュアメニ評だ。
マドリーはカゼミーロ、モドリッチ、トニ・クロースの盤石の中盤を抱えている。
先述の通り、モドリッチとは2023年までの契約延長を行った。しかしながら、マドリーのアイデアは、「CMK」から「TCV」への移行である。
チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ、フェデリコ・バルベルデを、将来的にはチームの中心に据える考えだ。
「スポーツだけの問題ではない。社会の問題だ。世代間で、関係性というのが変わってきた。私が父親に抱いていた敬意と、息子が私に抱いているものは異なる」
「私と教師の関係、現在の生徒と教師の関係についても同じだ。どちらが難しいか、という話ではない。違いがある、という話だ。現在の若い世代というのは、権威に対して以前ほど敬意を抱かなくなっている」
これはアンチェロッティ監督の言葉だ。この監督がいる限り、マドリーの若い選手が勘違いを起こすことはないだろう。
アンチェロッティ監督から直々に電話で説得されているというチュアメニが、スペインに到着する日は近いもしれない。そしてそれは、マドリーの新たな世代の台頭を意味する。