全国屈指の赤字路線「JR芸備線」、「広島発の日帰りプラン広め存続につなげたい」県内ファンが団体設立へ
改正地域公共交通活性化再生法に基づく再構築協議会が開かれているJR西日本の芸備線。芸備線は広島駅(広島県広島市)と備中神代駅(岡山県新見市)の159.1kmを結ぶ路線であるが、このうち輸送密度が特に低いとされる備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)68.5kmについて特に輸送密度が低いことから、その存廃の行方に注目が集まっている。
こうした中で、芸備線の存続についての機運を盛り上げようという動きが広がり始めている。広島県東広島市在住の中本祥二さんは2024年7月1日、芸備線ディスティネーション協会を立ち上げ、東広島市市民協働センターの利用団体に登録を行った。
中本さんは、「この団体は芸備線の備後庄原―備中神代間の利用者を増やし活性化を行うことを目的に設立した」と話す。芸備線は政令指定都市の広島市を起点として、沿線には三次市や庄原市など比較的大きな街が続いていること、さらに隣県の政令指定都市である岡山市都市圏も近いことから、「需要を掘り起こすにあたってのマーケットは大きい」という。
芸備線は、広島駅から離れるにつれて25km/hの速度制限区間が増え線形も悪いことやダイヤもそれほど便利なものとはいえないことから、中本さんは「利便性を向上させるための抜本的な改善はすぐにはできないが、まずは、芸備線を使って広島駅から日帰り旅行ができることを周知すれば、乗ってくれる人も増えるのではないか」と考えている。さらに「広島都市圏に住む人たちは、芸備線の沿線の庄原市、特に備後落合駅が遠いと思っていて、さらに芸備線はダイヤが不便だから乗ることが無理だと考えている人も多い」。こうしたことから、「広島都市圏や岡山都市圏に住むおそらくは大多数の方々に芸備線旅行は実は身近であるということを広めたい」と意気込みを語ってくれた。
なお、周知を行おうとしている、具体的な日帰りプランは、以下の通りとなる。
【Aプラン】
・広島11:02→12:24三次 快速みよしライナー 三次行
・三次13:00→14:19備後落合 芸備線 備後落合行
・備後落合14:42→16:09新見 芸備線 新見行
・新見16:46→17:47岡山 特急やくも22号 岡山行
・岡山18:06→18:46広島 のぞみ75号 広島行
【Bプラン】
・広島10:18→10:57岡山 のぞみ16号 東京行
・岡山11:13→12:15新見 特急やくも9号 出雲市行
・新見12:58→14:24備後落合 芸備線 備後落合行
・備後落合14;40→16:00三次 芸備線 三次行
※以下、平日と土休日で利用できる列車が変わります
<土休日>
・三次16:05→17:30広島 快速みよしライナー 広島行
<平日>
・三次16:34→18:14広島 芸備線 広島行
2024年の活動目標としては、広島駅から芸備線全線の日帰り乗車ができることを周知するためのA3ポスターを制作し、広島都市圏の大型商業施設での掲示をお願いすること。2025年以降はYouTube配信を計画しているという。
(了)