韓国サッカー U-12で「パス回すだけ」の無気力試合にネット紛糾「何が悪い?」「日本もやってた」
今年7月27日に韓国の大田(テジョン)で行われた韓国U-12のフェスティバルである。公式戦ではないものの、大韓サッカー協会傘下の市サッカー協会主催で行われたゲームで、その「無気力なパス回し事件」は起きた。
試合を報じたMBCのYouTube動画は46万アクセスを記録するなど、高い関心を集めている。
Bチーム(韓国メディアはこう報じた)が、引き分けでもグループリーグ1位突破が決まるゲーム。最終節でAチーム(同)と対戦した際に、出来事は起きた。
AチームがだらだらとDFラインでバックパスや横バスをやりながらボールを回す。ハーフラインを超えることはなかった。
Bチームはまったくこれを奪いに行く気配なし。
この試合については韓国ネット掲示板では「2018年ロシアW杯での日本(ポーランド戦)では、韓国の誰も文句言わなかったの?」といったコメントが寄せられた。まさにあの試合を彷彿とさせるような試合展開。
後半に入ると、この状況はより酷いものになった。
ニュースを報じた「MBC」も「ほとんど静止画面」というほどの試合展開に。
試合開始からじつに18分間、ほとんど最初のポジションから動かなかった。
意味のないボール回しが続く。ボールから離れたポジションにいる選手はストレッチを始めるという事態に。結局、前後半50分の試合時間のうち40分に渡ってこういった風景が続いた。
マッチコミッショナーは試合中じつに4度も両チームの監督に注意を与えたが、意味がなかった。
なんでこんなことになったのか? 両チーム監督は「MBC」の取材にこう答えている。
Aチーム関係者「我々が準備したの(ゲームプラン)は、相手がボールを奪いに来たら、その背後のスペースを狙うものでした。しかし奪いに来ることもなく...」
Bチーム関係者「相手のコーチが試合後に挨拶してきましたが、かなり文句を言ったんです。『いったい何をしているのか』と。お金も、トロフィーがかかっているわけでもないのに‥私たちはドローでも(グループリーグ)1位で勝ち上がった。無理に仕掛けていくことはない。相手が出てこないからこちらも攻撃をしなかったんですよ」
アマチュアの大会ゆえ、大会賞金もトロフィーもない大会での出来事。それでも主管した大田サッカー協会はすぐに公正委員会を開き、両チーム監督が大会の残りの日程での活動停止を求める処置を大韓サッカー協会に提案したという。
韓国の大型ネット掲示板「dcinside」や「MBC」ニュースのコメント欄では議論が交わされた。
「監督はクビにしろ」
「何教えてるんだ? スポーツにも教育にもならん」
「引き分けても1位なんだから、どうしろっていうんだ? 仮にゴールを食らって負けたら誰が責任を取るんだ?」
「だからバスケが面白いんだよ。攻撃までの制限時間を作ったら?」
「無駄にボールを奪いに行って、ゴールが決まったり、失点しても「わざと」と疑われて処罰www」
さらには、日本を引き合いに出す意見も。
「またいつも韓国は…っていう話になるんだけど、日本もやってなかった?」
「こんなことしてるから日本に負けるんだよ」
なぜこんなことが起きるのか。韓国スポーツ紙記者はこう説いている。
「韓国サッカー界はかつての勝利至上主義、スパルタ教育への反省があるなか、小学校世代では『個別の能力を発揮できるように指導することが重要』という意見があります。いっぽうで、『個人能力だけではなく、ゲームの本質と教育的意義を教えることも大切』という意見も。そういったなかで、『個人能力を発揮するためには、戦術が大切』とし、プロばりの戦術トレーニングを行う向きも。これが逆に子供たちのプレッシャーとなり…いずれにせよ『極端』という面がありますね」
こういった出来事が起きると、「現場で指示を出した大人が悪い」という話になりがちだ。しかし問題の本質は、選手の中から「これおかしいです」と訴え、何か状況を変える雰囲気がないことでは?
韓国では今年2月にも大学のUリーグ延世大-京畿大戦で20分間に渡り「ボール回し」の事態が起きた。両監督ともに6か月間の公式戦指揮停止の処分を受けている。
(了)