Yahoo!ニュース

「月経・更年期・妊娠」女性が暑い夏を健やかに過ごすポイント 産婦人科医の助言

重見大介産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士
(写真:アフロ)

暑い夏が到来すると、月経や更年期症状、妊娠などを抱える女性にとって健康管理が重要なテーマとなります。

猛暑の中での過ごし方を工夫し、体調を崩さないようにするためのポイントをぜひ知っておきましょう。本記事では、月経管理、更年期症状、妊婦という3つのテーマについて、産婦人科医が具体的なアドバイスをお伝えします。

(1) 月経管理

夏の暑さや屋内のクーラーは、月経痛やデリケートゾーンケアに影響します。特に以下の点に注意して、できるだけ快適な月経期間を過ごしましょう。

・冷え対策

暑い季節でも、クーラーの効いた室内で過ごす時間が増えると、体が冷えやすくなります。冷えは月経痛を悪化させる原因となり得るため、以下の対策を取り入れるなど工夫をしてみてください。

腹巻きやブランケットの利用
→クーラーの効いたオフィスや家で過ごす際には、腹巻きやブランケットを使用してお腹や足元を温めるようにしましょう。

温かい飲み物
→暑いからといって冷たい飲み物ばかりを飲むと体が冷えてしまい、人によっては月経関連症状が悪化してしまいます。温かい飲み物を適宜取り入れることで、冷えを防止しましょう。

適度な運動
→ヨガやストレッチを行い、血流を促進することで冷え対策になります。特にお風呂上がりのストレッチは効果的です。

・デリケートゾーンの衛生ケア

暑さによる汗や湿気は、デリケートゾーンのトラブルを引き起こすことがあります。以下のポイントに気をつけて、清潔を保ちましょう。

通気性の良い下着を選ぶ
→綿素材や通気性の良い下着を選ぶことで、蒸れを防ぎましょう。通気性を優先する場合には、合成繊維の下着は避けることをお勧めします。月経用品をナプキンではなくタンポンや月経カップに変えるのも選択肢の一つです。

こまめなシャワー
→汗をかいたらこまめにシャワーを浴び、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。ただし、洗浄しすぎは逆効果になることもあるので注意が必要です。ゴシゴシ擦らず、腟の中まで洗わないように心がけてください。

適切なケア用品の使用
→デリケートゾーンには、弱酸性・低刺激性のケア用品を使うと良いでしょう。アルコールや香料の入った製品は避ける方が、皮膚の荒れを回避しやすいです。

・プール利用時の注意点

夏はプールに入る機会も増えますが、月経中のプール利用には注意が必要です。

タンポンや月経カップの使用方法
→プールに入る際は、タンポンや月経カップを使用することが多いと思いますが、使用後はできるだけ速やかに交換し、衛生を保ちましょう。

体調の確認&無理をしない
月経中は体調が不安定になりやすいので、無理をせず体調を見ながらプールを利用するようにしましょう。また、急に腹痛がひどくなってくることもあるため、痛み対策をしっかりしておき、深いプールや海の深いところは避けるようにした方が安全です。

*なお、月経関連症状が辛くて生活や仕事に支障が出る場合には、月経困難症として治療が必要だと考えられます。セルフケアも大事ですが、それでも十分に改善しない場合には、早めの産婦人科受診をお勧めします。

(2) 更年期症状

更年期に入ると、ホルモンバランスの変化により様々な症状が現れやすくなります。猛暑の中での対策としては以下の点が重要です。

・適度な運動

運動は更年期症状を和らげる効果がありますが、暑さ対策も忘れずに行いましょう。

早朝や夕方に運動する
→適度な運動は更年期症状の改善に有効だとされています。気温が比較的低い時間帯にウォーキングや軽いジョギングを行うと良いでしょう 。これにより、日中の暑さを避けながら運動することができます。

屋内運動
→暑い日にはクーラーの効いた室内でのヨガやピラティスを行うのも効果的です。ただし、室内温度の下げ過ぎには注意してくださいね。

水分補給
→運動中はこまめに水分補給を行い、脱水症状を防ぎましょう。特に汗をかきやすい状態となっている更年期の女性には重要です。

・冷感グッズの活用

ホットフラッシュ(急なのぼせ感や発汗)などの症状には冷感グッズが有効な場合があります。

冷却シートや冷却ジェル
→市販の冷却シートや冷却ジェルを使用し、顔や首周りを冷やすことでホットフラッシュの症状を和らげることができるかもしれません。(熱中症対策にはなりませんのでご注意ください)

ハンディファン
→小型のハンディファンを持ち歩くことで、いつでもどこでも涼を取ることができます。最近では使っている人をよく見かけますね。ただし、35度を超えるような猛暑の屋外ではハンディファンを使っても涼しむことは難しいので過信しないよう注意しましょう。

冷却(冷感)タオル
→濡らして絞るだけで冷たくなるタオルを首に巻くことにより、即座に体感温度を下げることができます。ハンディファンとの組み合わせも有効です。

・睡眠環境の調整

快適な睡眠は更年期症状を和らげるために大切です。以下の点に気をつけて、睡眠環境を整えましょう。

適切な室温
→クーラーを使用して室温を一定に保つことで、快適な睡眠環境を作りましょう。タイマー機能を活用し、一晩中冷やしすぎないように注意が必要です。

寝具の選び方
→通気性の良い寝具を選び、汗をかいても快適に過ごせるようにしましょう。特に夏用の冷感寝具は心地よいと感じやすいかもしれません。

リラックスする習慣作り
→就寝前にリラックスする習慣を取り入れましょう。お風呂にゆっくり浸かる、アロマを使用する、軽いストレッチを行うなど、自分に合った方法を見つけることが大切です。

*なお、更年期症状がひどくなって生活や仕事に支障が出る場合には、更年期障害として治療が必要だと考えられます。セルフケアは大事ですが、それでも十分に改善しない場合には、早めの産婦人科受診をお勧めします。

(3) 妊婦

妊娠中は様々な身体的変化が起こり、暑さによる影響を受けやすい時期です。以下の点に注意し、できるだけ快適な夏を過ごしましょう。

・日焼け対策

妊婦さんの肌はホルモンバランスの変化により敏感になりやすく、日焼けしやすい傾向があります。また、妊娠中に乳房や顔にできる色素斑は、体内のメラニンが増加することが影響しており、これは日光に当たることでより悪化してしまいます。

日焼け止めの使用
→外出時にはできるだけ日焼け止めを塗りましょう。酸化チタンと酸化亜鉛が成分に入っているものは「物理(ノンケミカル)日焼け止め」に分類され、全身に吸収されず皮膚への刺激も小さいため、胎児への安全性を考えるのであれば最も使いやすい日焼け止めと考えられるでしょう。

帽子とサングラス
→帽子をかぶり、サングラスを着用することで、直射日光と紫外線を避け、顔や目を保護しましょう。

UVカットの衣服
→UVカット加工が施された衣服を選ぶと、さらに効果的に日焼けを防ぐことができます。長袖のシャツや長ズボンを着用することもおすすめです(体温調節には気をつけてください)。

・水分補給

妊娠中は特に水分補給が重要です。脱水症状を防ぎ、血栓症のリスクを下げ、体調を維持するために以下のポイントに注意しましょう。

こまめな水分摂取
→一度に大量の水を飲むのではなく、こまめに少量ずつ飲むようにしましょう。水筒を持ち歩くと便利です。ただし、糖分の多い飲み物の摂りすぎは避けましょう。

水分の多い食事
→水分を多く含む野菜や果物を積極的に摂取することで、食事からも水分を補給できます。上手に活用してみましょう。なお、妊娠中の塩分摂取量は6.5グラム未満/日が推奨されていますが、減らし過ぎないよう気をつけてくださいね。

・適度な運動

妊娠中の適度な運動は健康維持に役立つため、週に150分程度の運動が推奨されています(産科合併症がない場合)。ただし、夏は暑さ対策も忘れずに行いましょう。

水中でのエクササイズ
→暑い夏には水中での運動が気持ちよく続けやすいかもしれません。プールでのウォーキングやアクアビクスを行うことで、涼しさを感じながら全身を動かすことができます。

涼しい時間帯に運動
→早朝や夕方の涼しい時間帯にウォーキングを行うと、暑さを避けながら体を動かすことができます。日陰の多い公園などを選ぶとさらに効果的です。

無理のない運動を
→妊娠中は体調が変わりやすいため、無理をせず、自分のペースで運動することが大切です。体調が悪いと感じたら、すぐに休息を取りましょう。

健康的に、夏を大いに楽しみましょう

猛暑の季節においても、上記のポイントを意識することで、女性特有の症状などを軽減しながら快適に過ごしやすくなるかと思います。

それぞれの体調や体質に合わせて適切な対策を講じ、夏を元気に楽しみ、乗り切りましょう。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサーが企画・執筆し、編集部のサポートを受けて公開されたものです。文責はオーサーにあります】

産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士

「産婦人科 x 公衆衛生」をテーマに、女性の身体的・精神的・社会的な健康を支援し、課題を解決する活動を主軸にしている。現在は診療と並行して、遠隔健康医療相談事業(株式会社Kids Public「産婦人科オンライン」代表)、臨床疫学研究(ヘルスケア関連のビッグデータを扱うなど)に従事している。また、企業向けの子宮頸がんに関する講演会や、学生向けの女性の健康に関する講演会を通じて、「包括的性教育」の適切な普及を目指した活動も積極的に行っている。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません。

重見大介の最近の記事