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「大人のための性教育」知っておきたい3つのこと #専門家のまとめ

重見大介産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士
(写真:アフロ)

近年では、「日本では性教育が不十分である」という認識が徐々に広がり、性教育に関する報道や特集記事も増えてきているように感じます。

今回はYahoo!ニュース オリジナル特集「#性のギモン」から、「大人のための性教育」として知っておきたい3つのことをお伝えします。

ココがポイント

科学的にからだのことを学ぶにとどまらず、人間関係や多様性、人権、(中略)平等などについて考えていく
出典:Yahoo!ニュース オリジナル 特集 2023/7/18(火)

正しい知識を得られれば、『生理痛は我慢するものではない』という思考に変わり、婦人科受診につながりやすくなる。
出典:Yahoo!ニュース オリジナル 特集 2024/5/11(土)

性教育においては、(中略)社会全体に行きわたることで初めて、子どもたちの命が守られる
出典:Yahoo!ニュース オリジナル 特集 2024/6/25(火)

エキスパートの補足・見解

それでは、3つの「性教育として知っておきたいこと」を解説します。

(1) 求められているものは「包括的な性教育」

生きていく上で誰にとっても大切で必要なものは「包括的な性教育」です。これは、国際的に広く認知・推進されている「性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、幸福などを学ぶ」ものです。

(2) 正しく知識を持っておけば防げる辛さや病気がある

例えば、「生理が重い」に対して「女性なら我慢するもんだ」「昔からみんな耐えてきた」という考えは不適切です。「生理が本人にとって重い」のであれば「月経困難症」という疾患だと考えられ、もし子宮内膜症のような病気が潜んでいた場合には将来の不妊症を招くこともあります。

(3) 適切な性教育は子どもたちを守るためにも必要不可欠

包括的性教育には「子どもの身を守るための知識やスキル」が多く含まれています。人にされたらおかしい行為を知っておく、はっきり嫌だと言えること、いざという時に頼れる関係性を作っておくなどが該当します。

ただ、被害を真になくすには社会全体に浸透する必要があるのです。

自分も家族も他者も守れるよう「大人のための性教育」が広まってほしいです。

産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士

「産婦人科 x 公衆衛生」をテーマに、女性の身体的・精神的・社会的な健康を支援し、課題を解決する活動を主軸にしている。現在は診療と並行して、遠隔健康医療相談事業(株式会社Kids Public「産婦人科オンライン」代表)、臨床疫学研究(ヘルスケア関連のビッグデータを扱うなど)に従事している。また、企業向けの子宮頸がんに関する講演会や、学生向けの女性の健康に関する講演会を通じて、「包括的性教育」の適切な普及を目指した活動も積極的に行っている。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません。

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