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HPVワクチンのキャッチアップ接種 「知らなかった」で機会を逃さないように #専門家のまとめ

重見大介産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士
(写真:アフロ)

子宮頸がんなどを防ぐ効果のあるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン。国は、過去数年間で接種の機会を逃した女性を対象に、接種費用を公的に補助(=無料で接種できる)する「キャッチアップ接種」を2024年度末まで実施しています。

「知らなかった」で接種の機会を逃さないように、対象者や条件などを確認しておきましょう。

ココがポイント

性交渉を経験している人でもワクチン接種には一定の効果がある。一般的なワクチンに見られる腫れや痛みといった副反応はあるが、HPVワクチン特有のリスクは確認されていない
出典:Wedge(ウェッジ) 2024年/8/22(木)

キャッチアップ接種は平成19年度―同9年度生まれの女性が対象。
出典:伊勢新聞 2024年/9/24(火)

3回の接種を終えるまでに半年以上かかるため、産婦人科医などは無料での全接種を希望する場合、9月中に1回目を終える必要があると呼び掛けています。
出典:ABA青森朝日放送 2024年/9/24(火)

エキスパートの補足・見解

それぞれ少し詳しく解説します。

(1) 性交渉を経験していてもワクチンの効果は期待でき、安全性はとても高い

まず、HPVワクチンについて大事な情報を確認しておきましょう。

子宮頸がんはHPVの感染が主原因であり、「初めての性交渉より前にHPVワクチンを接種しておく」ことが予防のために最も重要かつ効果的だということがわかっています。

しかし、性交渉を経験した後でも、ワクチンの効果は期待できることが研究でわかっており、また国内外の様々な研究で安全性は他のワクチンと同様に高いことが示されています。

(2) キャッチアップ接種の対象は「平成19年度〜同9年度生まれの女性」

対象者は「平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性と決まっています。

ご自身が対象かどうか確認してみましょう。詳細は厚生労働省のページもご覧ください。

(3) できれば今年9月中に1回目の接種を

キャッチアップ接種の対象となる女性では合計3回の接種が必要であり、半年以上かかるので、3回とも無料で年度内に接種するには9月中に1回目の接種を済ませることが大事となります。

ただ、医師と相談の上で、スケジュールを微調整することは可能です。また、3回目が来年度になってしまっても、2回は無料で接種することが可能です。

ぜひ早めに接種とスケジュールをご検討くださいね。

産婦人科専門医 / 公衆衛生学修士 / 医学博士

「産婦人科 x 公衆衛生」をテーマに、女性の身体的・精神的・社会的な健康を支援し、課題を解決する活動を主軸にしている。現在は診療と並行して、遠隔健康医療相談事業(株式会社Kids Public「産婦人科オンライン」代表)、臨床疫学研究(ヘルスケア関連のビッグデータを扱うなど)に従事している。また、企業向けの子宮頸がんに関する講演会や、学生向けの女性の健康に関する講演会を通じて、「包括的性教育」の適切な普及を目指した活動も積極的に行っている。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません。

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