ウエアラブル市場でApple Watchのシェア拡大
米国の市場調査会社IDCのレポートによると、今年(2018年)1〜3月期におけるウエアラブル機器の世界出荷台数は2510万台となり、1年前から1.2%増と小幅な伸びだった。
スマートウオッチが28.4%増加
昨年(2017年)の同じ時期の世界出荷台数は、前年比18%増と、好調だった。これが、わずか1.2%の伸びにとどまったのは、市場で大半を占める「ベーシック・ウエアラブル」と呼ばれる安価なリストバンド型機器が不振だったからだ。
IDCによると、ベーシック・ウエアラブルの1〜3月期における出荷台数は、1年前から9.2%減少した。一方、米アップルや米フィットビットなどが販売するスマートウオッチは、同28.4%増加した。
この市場には、これら腕に装着するタイプの機器のほか、耳に装着するイヤホン型や、スポーツシューズ、ショートパンツ、シャツなどに装着する衣服型などがあり、これらも出荷台数は伸びている。
しかし、ウエアラブル機器の世界出荷台数のうち、95%をベーシック・ウエアラブルとスマートウオッチが占める。そして、これら腕に装着するタイプのうち、前者がここに来て急激に落ち込み、後者が急成長しているという状況だ。
ウエアラブルの主流は、よりスマートな機器へ
IDCの上級リサーチアナリスト、ジテッシュ・ウブラニ氏は、「ウエアラブル機器市場は、よりスマートな機器へと移行しつつある」と指摘。
アップルは昨年9月半ばにスマートウオッチ「Apple Watch」の第3世代モデル「シリーズ3」を発売し、セルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)モデルも市場投入した。
ウブラニ氏によると、こうしたセルラー対応モデルの出荷台数は、全ウエアラブル機器のほぼ3分の1を占めるまでになった。
アップルは首位を維持
1〜3月期のウエアラブル機器出荷台数をメーカー別に見ると、最も多かったのはアップル。その台数は1年前から13.5%増の400万台だった。
アップルは、昨年、ウエアラブル機器の年間出荷台数ランキングで、初めて首位に立ったが、同社のこの事業は依然、好調だ(図1)。
- 図1 ウエアラブル機器の世界出荷台数 2016年・2017年(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
これに伴い、1〜3月期のアップルの市場シェアは、昨年の14.3%から16.1%に拡大。前述したとおり、同社はApple Watchのセルラーモデルを市場投入したが、これが同社に新たな販路をもたらしたと、IDCは分析している。
そして、1〜3月期の2位以降は、中国シャオミ(小米科技)、米フィットビット、中国ファーウェイ(華為技術)、米ガーミンの順。
このうち、シャオミの出荷台数は370万台と、アップルに迫っている。ただ、同社は、主に安価なリストバンド型機器を中国市場に出荷しているメーカー。製品の平均販売価格は上位5社の中で最も低い。
その出荷台数のシェアは14.8%であるのに対し、出荷金額のシェアは、わずか1.8%にとどまっている。
(このコラムは「JBpress」2018年6月6日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)