スマートウオッチ、ついに普及期に突入か アップルがけん引
米アップルが「Apple Watch」の初代機を発売したのは2015年の4月。
このころ、Apple Watchを含むスマートウオッチの市場は、まだ立ち上がったばかり。その年間出荷台数は、2000万台弱で、スマートフォンの1%にも満たなかった。
しかし、それから3年。スマートウオッチは依然、スマートフォン出荷台数の数パーセント程度だが、ここに来て、急速に伸び始めた。
Apple Watchのシェアが63%
米ウォールストリート・ジャーナルが引用した、米IDCの調査レポートによると、昨年(2017年)1年間のスマートウオッチ世界出荷台数は、3270万台で、1年前から60%増加した。
このうち、出荷台数が最も多かったメーカーは、アップルだ。その台数は前年比56%増の1770万台だった。
アップルは昨年9月に発売した第3世代モデル「シリーズ3」が、多くの消費者に受け入れられ、成功を収めたという。
例えば、昨年10〜12月期に限って見ると、アップルの出荷台数は、1年前から58%増の800万台となり、市場シェアは、驚異的な63%を記録した。
アップル、ウエアラブル市場でも首位
興味深いのは、フィットネストラッカーなどの安価なリストバンド型機器も含めた、ウエアラブル機器市場全体でも、アップルが首位になっていること(図1)。
- 図1 ウエアラブル機器の出荷台数トップ5メーカー(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
IDCのレポートを見ると、ウエアラブル機器のメーカー別年間出荷台数ランキングは、アップル、中国シャオミ(小米科技)、米フィットビット、米ガーミン、米フォッシルの順。
この市場では、当初、安価なリストバンド型機器が人気を集めていた。しかし、ここに来て、消費者の好みが、より高機能で洗練された機器や、名の知られたブランドへと移行してきたと、IDCは報告している。
また前述したウォールストリート・ジャーナルの記事は、その背景には、健康志向の消費者の存在があると伝えている。
そうした消費者は、当初、簡素なフィットネストラッカー、あるいは健康管理の機能で満足していた。しかし、今はより高度な機能を求めるようになっているという。
スイス製腕時計を上回る
アップルは、自社でApple Watchの販売台数を公表していない。このため、今回の調査結果は推計値だ。
ただ、別の調査会社である英カナリスも、昨年10〜12月期のApple Watchの出荷台数が、800万台になったと報告している。
これは、同じ期間に出荷された、スイス製腕時計(オメガやスウォッチ、ロレックスなど)の合計台数、680万台を上回っている。
そして、この英国の市場調査会社も、Apple Watch成功の要因は、昨年市場投入されたシリーズ3だと見ている。
シリーズ3には、セルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)モデルも用意されているが、このモデルが、米国や日本、オーストラリアで好調に売れたと分析している。
(このコラムは「JBpress」2018年3月6日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)