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日本で記録した防御率はよく似ているが、マクガフは2年625万ドル、ブセニッツはマイナーリーグ契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
アラン・ブセニッツ(左)とジェイソン・カストロ Aug 19, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アラン・ブセニッツは、シンシナティ・レッズとマイナーリーグ契約を交わした。ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、5年ぶりのメジャーリーグ復帰をめざす。2019年から2022年まで、ブセニッツは東北楽天ゴールデンイーグルスで投げ、155.2イニングで防御率2.83を記録した。今シーズンは、31.2イニングで防御率2.27だ。

 一方、スコット・マクガフは、同じ4シーズンを東京ヤクルト・スワローズで過ごし、232.2イニングで防御率2.94。今シーズンは、53.2イニングで防御率2.35を記録している。こちらは、2年625万ドルでアリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団した。メジャーリーグに復帰すると、8年ぶりとなる。

 ブセニッツとマクガフは、どちらも右のリリーバーだ。日本プロ野球では、イニングだけでなく、役割も多少違ったものの、通算防御率と今シーズンの防御率はよく似ている。彼らは、年齢も近い。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、ブセニッツが32歳、マクガフは33歳だ。

 にもかかわらず、ブセニッツはマイナーリーグ契約しか得られず、マクガフは複数年のメジャーリーグ契約で迎えられた。マクガフほどではないにしても、ブセニッツもメジャーリーグ契約を手にしてもおかしくなかったように思える。

 ただ、奪三振率は大きく違う。4シーズンの通算は、ブセニッツが7.23、マクガフは9.71。今シーズンは、それぞれ、7.11と9.89を記録した。与四球率も、通算が3.30と2.82、今シーズンは2.84と2.18だ。これらの数値、特に奪三振率は、契約の差を生んだ要因の一つだと思われる。

 来シーズン、マクガフは、セットアッパーとして期待されていて、クローザーとして投げる可能性もある。ダイヤモンドバックスのブルペン事情については、「東京ヤクルトからメジャーリーグへ戻っても、マクガフはクローザーを務めるのか」で書いたとおりだ。

 ブセニッツも、スプリング・トレーニングで好投すれば、開幕ロースターに入るチャンスはあるだろう。今シーズン、ダイヤモンドバックスのブルペン防御率はリーグ・ワースト4位の4.58だったが、レッズのブルペン防御率はさらに高く、ワースト3位の4.72を記録した。今オフ、レッズがブルペンに施した補強は、ダイヤモンドバックス以上に小規模だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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