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映画動員ランキング 珍しくトップ4が洋画。これはなんと8年ぶり

斉藤博昭映画ジャーナリスト
初登場2位の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

6/16〜18の週末映画動員ランキングは、上位がちょっと異例の並びとなった。

1位:リトル・マーメイド

2位:スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(初)

3位:ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

4位:ザ・フラッシュ(初)

5位:憧れを超えた侍たち 世界一への記録

6位:怪物

7位:ワイルド・スピード/ファイヤーブースト

8位:忌怪島/きかいじま(初)

9位:劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD

10位:名探偵コナン 黒鉄の魚影

(太字が洋画、初は初登場)

上位4作が洋画だった。4本のうち2本が初週だったことも要因のひとつだし、「それって、別によくあることでは…」と感じるかもしれないが、これはかなり久しぶりの結果である。

かれこれ10年以上、日本での映画のマーケットのシェアは、邦画が洋画をリードしてきた。『トップガン マーヴェリック』や『ボヘミアン・ラプソディ』のようにハリウッド大作、つまり洋画の超話題作が爆発的ヒットすることはあっても、ランキングの上位の並びは、邦画が大勢を占めるのが“常識”になっていた。ベストテンに洋画が1本だけという週は珍しくなくなり、かなり稀だがゼロという週があったりも。

では先週末のように、ランキング上位4本が洋画という週はあったのか。遡っていくと……

【2022年7/30〜31】

1位:ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

2位:ミニオンズ フィーバー

3位:キングダム2 遥かなる大地へ

4位:トップガン マーヴェリック

5位:今夜、世界からこの恋が消えても

4本中3本が洋画。これもけっこう異例だ。その少し前の週では……

【2022年7/9〜10】

1位:ソー ラブ&サンダー

2位:トップガン マーヴェリック

3位:バズ・ライトイヤー

4位:モエカレはオレンジ色

5位:ドラゴンボール超 スーパーヒーロー

トップ3位が洋画で、じつはこれも超レアなケース。しかし4位には邦画が食い込んでいた。このように4本中3本が洋画というランキングは、年に数回、発生している。

さらに遡って、惜しかったのが……

【2020年1/12〜13】

1位:アナと雪の女王2

2位:カイジ ファイナルゲーム

3位:スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け

4位:フォードvsフェラーリ

5位:パラサイト 半地下の家族

上位5本中4本が洋画という、これもかなり稀なケースながら、2位に邦画が入っていた。

では実際に先週末と同じように上位4本が洋画というのは、いつまで遡ればいいのか。

【2015年8/29〜30】

1位:テッド2

2位:ジュラシック・ワールド

3位:ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

4位:ミニオンズ

5位:S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE

2015年公開の『ジュラシック・ワールド』より
2015年公開の『ジュラシック・ワールド』より写真:REX/アフロ

今から8年前。洋画がトップ4本を達成していた。この前週、前々週もトップ3は洋画。洋画も話題作が多い夏休みということでこの結果になったわけだが、通常ではあまり見られない。

ここ数年、『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』で明らかなように、とくに邦画のアニメ作品がロングランヒットとなるケースが目立つ。「名探偵コナン」など、一定の時期にランキング上位が指定席になるシリーズもある。そうなると、つねに上位にこうした作品が、1位ではないにしろ入っている。年間を通すと、そのような週がじつに多い。

6月に入り、邦画アニメのロングランヒット作も一段落し、6/16からの先週末は、たまたまタイミング的に邦画の有力作の公開もなかった。本来なら6/16公開予定だった『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』も延期になっていた。

とはいえ週末3日間の興行収入は、『リトル・マーメイド』4億5000万円、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』3億9600万円、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』2億7600万円、『ザ・フラッシュ』2億1500万円。と悪くない数字。「たまたま」というより、これらの作品が素直に観客の支持を集めた結果と言ってよさそう。

次の週末、6/23公開も爆発的なライバル作品は少なく、その次の6/30には『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』も公開されるので、どんなランキングになるか注目しておきたい。

初登場4位の『ザ・フラッシュ』 (C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC
初登場4位の『ザ・フラッシュ』 (C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

※ランキングと数字は興行通信社調べ

『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』

(C)2023 CTMG. (C) & TM 2023 MARVEL. All Rights Reserved.

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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