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「SHOGUN」 ゴールデングローブだけじゃない、放送映画批評家協会賞と“2週連続”で栄誉なるか

斉藤博昭映画ジャーナリスト
2024年9月のエミー賞で受賞を喜ぶアンナ・サワイと真田広之。この光景が再び?(写真:ロイター/アフロ)

2024年の9月、アメリカのテレビ界の祭典、第76回エミー賞で「SHOGUN 将軍」がドラマ・シリーズ部門で18冠という史上最多の受賞を果たしたことは、日本でも大きなニュースとなった。

その「SHOGUN」の快挙が、年明けのビッグな賞で再び予感されている。それも2回、立て続けに! 第82回ゴールデングローブ賞と、第30回放送映画批評家協会賞(クリティックス・チョイス・アワード)である。ともに映画とテレビ、両方の作品に賞を与え、華やかな授賞式が中継されるので、真田広之らがステージに上がり、感動のスピーチを多くのメディアが届ける……。そんな光景が今から目に浮かぶ。もちろん受賞結果はわからないが、2つの賞ともに有力の位置にいるのは間違いない。

日本ではゴールデングローブ賞の方が大きく報じられやすいが、放送映画批評家協会賞も業界にとっては重要な賞として位置づけられている。昨年は『ゴジラ-1.0』が放送映画批評家協会賞の外国語映画賞にノミネートされ、山崎貴監督もゴジラの像を持って授賞式に出席した。ゴールデングローブには『ゴジラ-1.0』はノミネートされておらず、1月の放送映画批評家協会賞から、3月のあのアカデミー賞受賞へとつながったいったのである。部門は異なるとはいえ、各賞での勢いが加速したのは事実だ。

2024年1月の放送映画批評家協会賞授賞式に出席した山崎貴監督 (Critics Choice Association)
2024年1月の放送映画批評家協会賞授賞式に出席した山崎貴監督 (Critics Choice Association)

一方で『君たちはどう生きるか』はゴールデングローブではアニメ映画賞を受賞したものの、放送映画批評家協会賞では同賞のノミネート止まり(『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が受賞)。ゴールデングローブの結果がアカデミー賞と一致した。

今年、1/6(日本時間)のゴールデングローブでは、「SHOGUN」がドラマ部門の作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(アンナ・サワイ)、助演男優賞(浅野忠信)と4部門でノミネート。

そして翌週、1/13(日本時間)の放送映画批評家協会賞では、ドラマシリーズ部門の作品賞、主演男優賞(真田)、主演女優賞(サワイ)、助演男優賞で2人(浅野と平岳大)、助演女優賞(穂志もえか)の計6ノミネートを果たしている。これはテレビ部門で最多。助演男優賞に日本人がWノミネートというのも異例だし、ゴールデングローブには入らなかった穂志が、こちらでの受賞を目指す。また、アンナ・サワイは「SHOGUN」に加え、「Pachinko パチンコ」でドラマシリーズ助演女優賞にノミネートを果たした。2つの賞で候補入りするという、こちらも驚きの快挙。

アンナ・サワイの「SHOGUN 将軍」と「Pachinko パチンコ」のWノミネートを紹介するIndieWireの記事より(FX/Apple TV+)
アンナ・サワイの「SHOGUN 将軍」と「Pachinko パチンコ」のWノミネートを紹介するIndieWireの記事より(FX/Apple TV+)

ゴールデングローブ、放送映画批評家協会賞のドラマ部門は、4ヶ月前に行われたエミー賞と結果が重なることが多い。時期がズレるので対象作品は多少変わり、2024年の場合は年末に配信が始まった「イカゲーム2」などはエミー賞では次回の対象作になる一方、ゴールデングローブでは今回のドラマ部門作品賞に滑り込みでノミネート。つまり「SHOGUN」のライバルになっている。ただ放送映画批評家協会賞に「イカゲーム」はノミネート入りしておらず、やはり両賞で多くの候補入りを果たしている「SHOGUN」の方が優勢だろう。エミー賞と同様に、作品賞、主演男優賞、主演女優賞を受賞する可能性はかなり高そう。エミー賞では惜しくも逃した助演男優賞の浅野忠信が逆転でどちらかの賞を受賞すれば、日本でもさらに大きなニュースになることだろう。

いずれにしても1月の1週目、2週目の月曜日の朝は、「SHOGUN」がアメリカの映画・ドラマの重要な賞で何らかの結果を残すはずなので、ぜひ楽しみにしておいてほしい。

Critics Choice Associationより
Critics Choice Associationより

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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