小児病院で回収した残骸はロシア軍のKh-101巡航ミサイルと特定、OSINT調査団体べリングキャット
7月8日にロシア軍がウクライナに大規模ミサイル攻撃を仕掛け、民間人が40人以上死亡し、首都キーウにある国内最大の小児病院「オフマトディト(Охматдит)」までもが被害を受けました。
この小児病院の被害についてロシア側は「ウクライナ軍の地対空ミサイルの誤射」と主張していますが、しかし撮影された映像からはロシア製の亜音速巡航ミサイル「Kh-101(Х-101)」の特徴が確認できます。
地対空ミサイルは固体燃料ロケットモーターを搭載しているので、ジェットエンジンの特徴が確認できる時点で違います。また地対空ミサイルは超音速で飛行するので、突入して来た様子が目で見て追えるほど遅い筈が無く、この時点でも違います。もし地対空ミサイルが急降下して来たら動画をコマ送りしないと着弾の様子など確認できません。
地対空ミサイルが噴射炎で光っていたり(夜間)、大量に白い煙を吐く噴射煙が出ているなら(昼間)、この条件ならば超音速であっても目で追えます。しかし固体燃料ロケットモーターの燃焼が終了した目立たない状態の超音速飛翔体を、近距離から目視で確認するのはそもそも無理です。
そしてウクライナ保安庁(SBU)は当日にオフマトディト小児病院の破壊現場からミサイル部品を回収し、ロシア軍のKh-101巡航ミサイルであると発表しています。そしてこれはオランダのOSINT調査団体「べリングキャット(Bellingcat)」からも確認されました。
小児病院で回収されたKh-101の残骸:ウクライナ保安庁(SBU)
OSINT調査団体べリングキャットによるKh-101の特定:Russian Missile Identified in Kyiv Children’s Hospital Attack
ウクライナ領土防衛軍司令部の巡航ミサイル識別マニュアルから照合
ミサイル形状の比較
ロシア側はオフマトディト小児病院に突入したミサイルは「ウクライナ軍のNASAMS防空システムのAIM-120地対空ミサイルである」と主張していますが、撮影されている突入寸前のミサイルの形状はロシア軍のKh-101巡航ミサイルと一致しています。
特徴的な外に飛び出たエンジンポッド、最後部の突き出し、垂直尾翼と水平尾翼、主翼、機首の形状、どれもKh-101巡航ミサイルのシルエットと合致しています。
そして既に説明していますが突入速度が「遅い」ので、亜音速巡航ミサイルであるKh-101であることは明白です。ジェットエンジンの甲高いタービン音まで聞こえているのですから、地対空ミサイルであるはずがありません。
同様の調査・分析は他の複数のOSINTでも既に行われており、Kh-101であるという結論となっています。
※以下リンク先は7投稿の連続ツリー。ミサイルの大きさや速度計算などからロシア軍のKh-101巡航ミサイルと特定している。