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ロシア軍がウクライナを無差別ミサイル攻撃、首都キーウ最大の小児病院まで被弾

JSF軍事/生き物ライター
SNS投稿動画よりキーウの小児病院に突入するロシア軍のKh-101巡航ミサイル

 7月8日、ロシア軍がウクライナの首都キーウを含む各地に無差別ミサイル攻撃を行い、民間人40人以上が死亡、国内最大の小児病院まで被害を受けました。この日は夜明け前(6発)と夜明け後(38発)の2波の攻撃があり、夜明け後に大規模な攻撃が行われています。

ウクライナ空軍司令部より2024年7月8日迎撃戦闘、夜明け前と夜明け後
ウクライナ空軍司令部より2024年7月8日迎撃戦闘、夜明け前と夜明け後

7月8日ウクライナ迎撃戦闘(夜明け後):ウクライナ空軍司令部

  • キンジャール空中発射弾道ミサイル×1飛来1撃墜
  • イスカンデルM短距離弾道ミサイル×4飛来3撃墜
  • ツィルコン極超音速巡航ミサイル×1飛来0撃墜
  • Kh-22超音速巡航ミサイル×2飛来0撃墜
  • Kh-101巡航ミサイル×13飛来11撃墜
  • カリブル巡航ミサイル×14飛来12撃墜
  • Kh-59/Kh-69空対地ミサイル×3飛来3撃墜

※各種ミサイル合計×38飛来30撃墜(阻止率79%)
※うち高速目標×8飛来4撃墜(阻止率50%)
※うち低速目標×30飛来26撃墜(阻止率87%)

7月8日ウクライナ迎撃戦闘(夜明け前):ウクライナ空軍司令部

  • イスカンデルM短距離弾道ミサイル×2飛来0撃墜
  • Kh-101巡航ミサイル×4飛来3撃墜

※各種ミサイル合計×6飛来3撃墜(阻止率50%)
※うち高速目標×2飛来0撃墜(阻止率0%)
※うち低速目標×4飛来3撃墜(阻止率75%)

 艦船発射式のカリブル巡航ミサイルが14発飛来していますが、カリブルの二桁発射は2023年9月25日の12発以来、約10カ月ぶりになります。またキンジャールとイスカンデルMといった弾道ミサイルの撃墜は、首都キーウ配備のパトリオット防空システムによるものと思われます(追記:イスカンデルⅯの撃墜場所はクリヴィー・リフらしいと判明)。なおこの日はシャヘド136自爆無人機の飛来はありませんでした。

 迎撃阻止率は8割近くで高い数字ですが、撃ち漏らした数発のミサイルにより民間施設に大きな被害が出ています。特にウクライナ最大の小児病院「オフマトディト(Охматдит)」にKh-101巡航ミサイルが直撃している衝撃的な様子が撮影されています。(着弾位置:50.4506, 30.4818)

小児病院に突入するロシア軍のKh-101巡航ミサイル

亜音速巡航ミサイルの特徴的な甲高い飛翔音

着弾寸前のKh-101。最後部の特徴的なエンジンポッドを確認できる

SNS投稿動画よりキーウの小児病院に突入するロシア軍のKh-101巡航ミサイル
SNS投稿動画よりキーウの小児病院に突入するロシア軍のKh-101巡航ミサイル

※ロシア軍のKh-101巡航ミサイルと特定した根拠

  1. 外部に突出したエンジンポッドが確認できる。 ※ジェットエンジン
  2. うっすらとジェットエンジンの排気も確認できる。
  3. 突入速度が遅く亜音速巡航ミサイルと確認できる。
  4. ジェットエンジンの甲高い飛翔音が確認できる。 ※窓を開けて撮影

※以上の特徴から、特にエンジンポッドの存在によりロシア軍の亜音速巡航ミサイル「Kh-101」であることはほぼ確実で(同じエンジンポッド突出式のKh-555と比べると全長が長い)、また外観やエンジン音や排気などから正常に飛行していることが確認できるので、迎撃の爆発で姿勢を乱して落ちて来た様子ではない。つまり意図的に小児病院を狙った可能性が高い。

 なおウクライナ保安庁(SBU)の現場検証でオフマトディト小児病院からロシア軍のKh-101巡航ミサイルの残骸を回収したと報告されています。

Слідчі СБУ встановили, що рф ударила по «Охматдиту» ракетою Х-101

ウクライナ保安庁(SBU)より小児病院から回収されたロシア軍のミサイル部品
ウクライナ保安庁(SBU)より小児病院から回収されたロシア軍のミサイル部品

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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