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日本が出場するFIBA U19ワールドカップは将来のNBA選手を知る絶好の機会!

青木崇Basketball Writer
前回大会で注目を集めたウェンバニャマとホルムグレン (C)FIBA.com

 6月24日からハンガリーのデブレツェンで開幕するFIBA U19ワールドカップには、日本も2年前の前回大会に続いての出場権を獲得。今回のチームはU17ワールドカップで活躍した川島悠翔、NBAグローバルアカデミーからハワイ大への進学が決まったジェイコブス晶ら将来が楽しみな選手たちが揃っており、八村塁を軸にしたチームで10位(通算成績3勝4敗)となった2017年大会を上回る成績を残すことが期待されている。

 しかし、近い将来NBAやユーロリーグ、ワールドカップや五輪で大活躍する可能性を秘めた選手たちが集結する大会だけに、日本は間違いなく厳しい戦いに直面する。歴史を簡単に振り返ってみれば、この大会を経験した後にNBA入りを果たし、活躍している選手は多い。八村がこの大会に出場したのはゴンザガ大で1年生のシーズン終了後で、平均20.6点が大会2位。2年生のシーズンで出場機会を得た八村は、3年生になるとチームの中心選手となって活躍し、NBA入りへの道を切り開いたのは、多くの方がご存知のはずだ。

この大会での八村は、イタリア戦の終盤で連続3Pを決めるなど勝負強さを発揮していた (C)FIBA.com
この大会での八村は、イタリア戦の終盤で連続3Pを決めるなど勝負強さを発揮していた (C)FIBA.com

 八村が活躍した2017年大会は、エジプトのカイロで開催された。トーナメント1回戦で日本をブザービーターで破ったイタリアが決勝に進む快進撃を見せたが、優勝したのは準決勝でアメリカを倒したカナダ。当時17歳になったばかりのR.J.バレットは、アメリカのディフェンスに対してアグレッシブに攻め続け、38点、13リバウンド、5アシストという活躍で勝利の原動力となった。平均21.6点は大会No.1であり、現在はニューヨーク・ニックスのスイングマンとして活躍している。

●2017年準決勝:カナダ対アメリカ

アメリカとの準決勝で38点と大爆発したバレット (C)FIBA.com
アメリカとの準決勝で38点と大爆発したバレット (C)FIBA.com

 ラトビアで行われた前回大会は、昨年のNBAドラフト2位でオクラホマシティ・サンダーに指名されたチェット・ホルムグレンと、今年のNo.1ピックが確実と言われるビクター・ウェンバニャマが決勝でマッチアップ。4Q途中でウェンバニャマがファウルアウトになった後、アメリカは83対81のスコアでフランスを何とか振り切って金メダルを獲得した。しかし、17歳のウェンバニャマがアメリカ相手でも22点、8リバウンド、8ブロックショットと強烈な存在感を発揮していたことでも、すごい才能を持った選手であることは間違いない。

●2021年決勝:アメリカ対フランス

セルティックスの大黒柱へと飛躍したテイタム(C)FIBA.com
セルティックスの大黒柱へと飛躍したテイタム(C)FIBA.com

 ボストン・セルティックスの大黒柱となったジェイソン・テイタムは2015年大会の金メダリストで、ニックスの中心選手として飛躍したジェイレン・ブランソンがチームメイトだった。アメリカは延長に持ち込まれる激戦を制して優勝を手にしたが、その時の対戦相手だったクロアチアにはイビチャ・ズバック(ロサンジェルス・クリッパーズ)がおり、この大会3位の平均17.6点という活躍で、銀メダル獲得に貢献している。

●2015年決勝:アメリカ対クロアチア

 今季のNBAファイナルを制したデンバー・ナゲッツのセンター、ニコラ・ヨキッチもセルビアのメンバーとして2013年大会に出場している。当時はガードのバシリエ・ミチッチ(アナドゥル・エフェス:2021年と2022年のユーロリーグファイナルフォーMVP)が中心のチームだったが、ヨキッチは2次ラウンドと決勝で顔を合わせたアメリカ戦でいずれも10点を記録している。

●2013年決勝:アメリカ対セルビア

デンバー・ナゲッツのNBA初制覇の原動力となったヨキッチは2013年に出場 (C)FIBA.com
デンバー・ナゲッツのNBA初制覇の原動力となったヨキッチは2013年に出場 (C)FIBA.com

 フィジカルの強さとポストアップのうまいセンターとして知られるヨナス・バランチュナス(ニューオーリンズ・ペリカンズ)は、2011年大会に平均23点、13.9リバウンドを記録し、リトアニアを世界の頂点へと導いた。2次ラウンドのアメリカ戦では30点、15リバウンドのダブルダブル、セルビアとの決勝でも36点を記録するなど、文句なしのMVP選出だった。アメリカは準々決勝でロシアに5点差で競り負け、5位に終わっている。

●2011年大会決勝後インタビューに応じるバランチュナス

リトアニアを金メダルに導いた後にNBA入りしたバランチュナス (C)FIBA.com
リトアニアを金メダルに導いた後にNBA入りしたバランチュナス (C)FIBA.com

 ここで取り上げた選手たちのように、デブレツェンで開催される今年のU19ワールドカップでも、近い将来NBAの舞台で活躍するような若者が出てくると期待している。試合の映像はFIBAのYouTubeチャンネルで見られるので、日本戦以外もチェックすることをお勧めしたい。

★日本のグループ戦

6月24日:ブラジル

6月25日:エジプト

6月27日:セルビア

(6月28日から7月2日まではトーナメントと順位決定戦が行われる)

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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