コロナ禍、2年ぶりのパキスタン交流イベント 国交70年へ手応え
日本で暮らすパキスタン人らによる交流イベントが24日、東京都内で開かれた。新型コロナウイルス感染拡大が長引く中で昨年は自粛せざるを得なかったが、今年2年ぶりに開催に漕ぎ着けた。
パキスタンの料理や工芸品の展示・販売、伝統の楽器や踊りが披露され、多くの人々で盛況。手応えを掴んだ関係者らは、来年の日本パキスタン国交樹立70周年に向け、祝賀ムードの機運を高めていく。
珍しい料理に舌鼓
秋晴れに恵まれたこの日、杉並区高円寺の旧杉並第四小学校の会場に一般の人や関係者ら約450人が訪れ、パキスタン料理に舌鼓を打ったり、伝統楽器による演奏を鑑賞したりして楽しんだ。
屋外では、「ビリヤニ」と呼ばれるピラフのようなご飯や、飲み物の「ラッシー」、デザートの「ファルーダ」を販売する「ナワブ」が露店を出し、繁盛していた。経営する成塚シャキル・カーンさんは首都圏を中心に10近い店舗を持ち、パキスタンの食文化の普及に努めてきた。「来年2022年は、日パキスタン国交樹立70周年。機運を盛り上げていきたい」と意気込む。
豚肉などを使わず、イスラーム教の戒律にのっとった「ハラール」の食料品を扱う店やレストラン「シディーク」を展開する味庵ラムザン・シディークさんも、パキスタンのカレーやナン、焼き鳥料理を振る舞っていた。
楽器や民族衣装、絨毯も
屋外の階段付近では、パキスタンの伝統的な太鼓「タブラ」による演奏や踊りが披露された。
校内も利用し、パキスタンの観光地の写真や民族衣装の展示に加え、工芸品などの販売も行われていた。
パキスタンなどの絨毯を販売するアミール・カーンさんは「コロナにより現地での買い付けができなくなっていたが、最近は少しずつ明るい兆しが見えてきた気もする。感染の第6波に気を付けつつ、地道に続けていきたい」と話した。
このほか、東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門(U-PARL)特任研究員の須永恵美子さんや、NPO法人Pakistan Japan Jasmine Association理事長の岡京子さんが、パキスタンの日常や社会情勢について解説。訪れた人たちは、講演や展示を通じてパキスタン文化への理解を深めていた。
パキスタン大使館商務参事官のタヒール・ハビブ・チーマさんも訪れ、盛会ぶりに満足な様子。2022年の日本との国交樹立70周年に向け、準備を進めていく。
この日のイベントは、一般社団法人杉並区交流協会が毎年開催している「海外文化セミナー」の一環。東京2020オリンピック・パラリンピックを機に、杉並区がパキスタンのホストタウンになっていたことから、今年はパキスタンをテーマとして開催に至った。2019年はイタリア、2020年はウズベキスタンの文化を紹介するイベントを開いた。
(写真はいずれも筆者撮影)