沖縄が梅雨明けすると西日本で豪雨の心配
梅雨前線の北上
鹿児島県奄美地方に50年に一度の豪雨をもたらした梅雨前線が、太平洋高気圧の強まりによって北上する見込みです(図1)。
ただ、今回の太平洋高気圧の強まりは、梅雨前線を一気に北上させるほどではなく、本州南岸から九州地方で停滞する見込みです。このため、東日本から西日本の広い範囲で雨の週末となる見込みです(図2)。
南から暖湿気流が入る九州南部では23日朝から昼前にかけて局地的に雷を伴い非常に激しい雨が降り、奄美地方では24日にかけて局地的に雷を伴い激しい雨が降るおそれがあります。特に、奄美地方では土砂災害の危険度が高くなっています。
また、梅雨前線に伴った強い雨域の東進に伴い、6月18日に震度6弱を観測した大阪府北部など23日昼前から雨が降る見込みで、雨による二次災害のおそれがありますので警戒が必要です(図3)。
沖縄で梅雨明け?
〃沖縄地方では、梅雨前線による雨や大気不安定による雷雨の可能性が低くなり、梅雨明けの可能性があります。
沖縄地方が梅雨明けとなると、一般的に2つの注意点があります。
1つめは、太陽高度が高いころ(夏至のころ)の梅雨明けとなり、晴れる沖縄では紫外線が一年で一番強くなりますので、注意が必要です。
2つめは、沖縄の梅雨明けとともに、西日本では梅雨末期の豪雨に警戒が必要です。
今回の、沖縄地方が6月23日に梅雨明けとなると、平年並みということになります(表)。
6月23日12時追記:
沖縄気象台は、6月23日11時に、沖縄地方の梅雨明けを発表しました。
沖縄地方の梅雨明けの平年日である6月23日は、「沖縄慰霊の日」でもあります。
太平洋戦争の最大の激戦である沖縄戦で、摩文仁(現在は平和公園)において陸軍司令官らが昭和20年(1945年)6月23日に自決し、日本軍の組織的抵抗が終わった日です。
そして、気象観測は残されていませんが、天気の記録から梅雨明けしたとみられる日でもあります。
沖縄戦は、連合軍が昭和20年(1945年)4月1日に沖縄本島中部に上陸し、沖縄守備隊が守る那覇や首里などの南部を避け、北上して4月19日までに北部を制圧しています。
日本軍の反攻は5月4日に行われましたが、この作戦は失敗します。この年の沖縄は、梅雨入りが遅れており、圧倒的な連合軍の航空部隊が活躍できない梅雨期間を待てなかったのかもしれません。
連合軍は日本軍の反攻失敗で予備隊を使い果たしたとして首里に総攻撃をかけます。この頃から沖縄は梅雨に入ります。空軍の活動が制約される梅雨になっても、日本軍に簡単に勝てるとの思惑があったのかもしれません。
しかし、戦闘は激化し、ぬかるみの中、両軍の激戦が続き、両軍に大きな被害がでていますが、徐々に南へ南へと追い詰められた日本軍の組織的な戦闘は6月下旬に終わっています。
このころ、沖縄が梅雨明けしました。
沖縄戦の激戦は、梅雨入りとともに始まり、梅雨明けで終わったのです。
西日本から東日本の梅雨明けは?
本州南岸から九州地方で停滞する梅雨前線が、来週の週明けから強まる太平洋高気圧によって北陸地方から東北南部まで北上することが予想されています。
東日本から北日本では晴れて気温が上昇し、梅雨明けを思わせる天気となりますが、その後、中国大陸から前線を伴った低気圧が東進し、全国的に曇雨天となる可能性があるため、このタイミングでの梅雨明けはなさそうです(図4)。
来週前半の梅雨の中休みをへて、来週後半は梅雨空が戻りそうです。
図1、図3、図4の出典:ウエザーマップ提供。
図2の出典:気象庁ホームページ。
表の出典:気象庁ホームページより著者作成。