過去たった70年間で800個以上の恒星が原因不明の消滅…宇宙人の仕業の可能性も?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「過去70年で800個以上の恒星が原因不明の消滅」というテーマで動画をお送りしていきます。
●恒星が突如として消滅?
太陽のような恒星という天体は、進化の過程で明るさが変化したりしますが、寿命が数百万年から十数兆年もあり、恒星の進化によって明るさが変化するペースは非常にゆっくりとしたものであると考えられています。
中にはそれ以外の様々な理由によって明るさが短期的に変化する「変光星」に分類される恒星も多数存在しますが、恒星自体は安定して存在しており、突如として星そのものが消滅することはありません。
また、大質量の恒星の場合、寿命が尽きると超新星爆発という大爆発を起こし、短期間で姿を消しますが、数か月にわたってとてつもないエネルギーで輝くため、超新星を起こして消滅した星を見逃す可能性は低いです。
このように安定した存在であるはずの恒星が、超新星のようなまばゆい輝きを放たずに突如として消えるなどという現象が起きたらどうでしょうか?
「Vanishing and Appearing Sources during a Century of Observations(VASCO)」というプロジェクトでは、恒星がたった100年という宇宙スケールでは一瞬の間で消滅する瞬間を捉え、その原因を解明することを目的としています。
VASCOは米国海軍天文台が70年前に撮影した最も古い観測記録と、Pan-STARRSと呼ばれるプロジェクトによる最近の観測記録とを比較し、さらに天の川銀河内にある個々の星々の位置や速度などのパラメータを明らかにすることを目的としたガイア計画で得られたデータを用いて再確認も行ったところ、実に800以上の恒星が原因不明の消滅を遂げたことが明らかになりました!
それらの多くはまだ消滅したことが確定しているわけではなく、今後より詳細な研究が必要ですが、本来安定した存在であるはずの恒星という天体が、超新星の痕跡もなく突如消滅していたとしたら、それは本当に興味深い現象です。
●星消滅の原因は?
では、このような恒星の消滅現象の原因は、現時点でどのように解釈されているのでしょうか?
先述の通り恒星は安定していて、ゆっくりと進化していくため、通常の進化の過程で恒星が70年以内という短期間で見えなくなったとは考えにくいです。
また、超新星で消し飛んだ痕跡も見られず、その可能性も低いです。
さらに、過去の画像に映っていた天体が、白色矮星という天体と恒星との連星系で起こる「新星」と呼ばれる突発的な爆発現象であった可能性も低いとされています。
この場合、新星を起こした連星系にあるうち、より明るい恒星の方が、現在の観測技術であれば観測できるはずであるにもかかわらず、実際は最新の観測データには恒星の姿すらも映っていないからです。
現実的に恒星消滅の原因として可能性が残っている現象には、元の光源がガンマ線バーストや高速電波バーストだったという説が挙げられています。
ガンマ線バーストや高速電波バーストは突発的に極めて強いエネルギーを放った後にたった数分で暗くなってしまい、高性能の望遠鏡を使ってもその場所に何も映らなくなってしまうようです。
また、元の光源が本物の恒星であり、それが70年以内で本当に消滅してしまっていた場合、それを説明する現象として「失敗した超新星」というものが挙げられています。
太陽の8-30倍程度の質量を持つ恒星が寿命を迎えると、星の核が自身の重力で圧縮されて中性子星となり、太陽の30倍以上の質量を持つ恒星の場合だと中性子星すら圧縮され、ブラックホールとなります。
これらの場合どちらも非常に明るい超新星爆発が伴うため、星が消滅したことを見逃す可能性は低いです。
ですが諸説ありますが、太陽の20-25倍の質量を持つ恒星が寿命を迎えると、超新星爆発を伴わず、直接ブラックホールに崩壊する可能性が示されています。
これが「失敗した超新星」と呼ばれる現象です。
失敗した超新星の場合、確かに星がひっそりと消滅する現象を説明することができますが、このような現象が起こるのは天の川銀河内全体でも300年に1度と極めて確率が低く、VASCOの短いプロジェクト期間でいくつもの「失敗した超新星」と遭遇できる可能性は極めて低いため、消滅した光源を全てこの現象で説明するのにも無理がありそうです。
結局既知の自然現象だけでは、突如恒星が消滅する謎を完全に説明しきることができていない、という現状です。
●地球外文明の仕業かも?
既知の自然現象による説明ができない場合、地球外文明が原因の候補として上がる場合は少なくありませんが、この恒星消滅事件についてもその可能性が示唆されています。
地球の文明とは比較にならないほど高度に発展した文明では、文明が属する惑星内のエネルギーだけでは飽き足らず、惑星が公転する恒星のエネルギー自体を有効活用するため、「ダイソン球」を構築する可能性があります。
ダイソン球は恒星全体を覆うほど巨大な構造物であり、恒星が全方位に放ったエネルギーを効率よく回収し、文明の営みに利用していると考えられています。
仮にダイソン球が実在する場合、恒星消滅の原因がそのような巨大構造に覆われたためであると説明することができます。
地球外文明による可能性は否定されていないとはいっても、そもそも地球外の原始的な微生物すら一度も確認されたことがない現状で、このようなSFのようなアイデアに頼るのは最終手段です。
そのため、今後も自然現象による説明が試みられるのは間違いありません。
実際の原因がどのようなものであっても、このように興味深い現象の真相が明らかになるのは非常に楽しみですね!