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ロシア軍、安価なロシア製神風ドローン「Lancet」で頻繁にウクライナ軍攻撃:金網である程度の防衛も

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ロシア軍の攻撃ドローンというと、もっぱらイラン製の軍事ドローン「シャハド」での首都キーウや主要都市への攻撃が多く報じられているので、それらが目立っている。だがロシア軍では侵攻直後からロシア製の神風ドローン「Lancet」で攻撃を行っていた。2023年6月に、ロシア製の安価な神風ドローン「Lancet」でウクライナ軍を攻撃しているとロイターが動画で報じていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。イラン製軍事ドローン「シャハド」を使い始めたのは2022年10月頃からである。

ウクライナ軍、ロシア軍ともにドローンごと標的に突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンを多く使用して敵の軍事施設や戦車などを攻撃している。神風ドローンは「Lancet」だけでなくほとんどが安価だが、高額な戦車などを標的にして爆発して破壊するのでコストパフォーマンスが高い。

ロシア軍はイラン製の「シャハド」やロシア製の「Lancet」のような神風ドローンをウクライナ軍の戦車や軍事施設に突っ込んで爆発させて破壊している。ウクライナ軍でも同じように神風ドローンでロシア軍の戦車や軍事施設、塹壕に突っ込んでいき爆発させている。

ウクライナ軍、ロシア軍ともに、標的に突っ込んでくる神風ドローンの攻撃を防御するために金網(ネット)を戦車や大砲、軍事施設の上に張っている。そうすれば、神風ドローンが標的の戦車や大砲に突っ込んできても金網(ネット)にぶつかって戦車などを防衛できる。金網(ネット)は手作りのものがほとんどだが効果があり、神風ドローンからの攻撃と爆発を防いでいる。

だが、全ての神風ドローンの攻撃を防衛できるわけではなく、金網(ネット)を突破して戦車や大砲を破壊してしまうこともある。ロイターの報道の中でも金網(ネット)でもある程度は防衛できるが、神風ドローンからの最良の防衛は迎撃して破壊するか、機能停止させてしまうことだと伝えている。

ロシア軍の神風ドローン「Lancet」が金網(ネット)を破ってウクライナ軍の戦車などを破壊したり、金網(ネット)で防衛に成功したりした写真や動画などもよく公開されている。ロシア軍はイラン製軍事ドローン「シャハド」やロシア製の攻撃ドローン「Lancet」といった神風ドローンでウクライナ軍を攻撃しているが「シャハド」よりも「Lancet」が金網(ネット)を破壊している投稿や報道が目につく。

▼ロシア軍が安価な神風ドローン「Lancet」で攻撃をしていることを報じるロイターの報道

▼ロシア軍の神風ドローン「Lancet」に破壊された金網(2023年3月

▼ロシア軍の神風ドローン「Lancet」に破壊された金網(2023年5月)

▼「Lancet」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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