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ドジャースからFAとなった先発投手が人気上昇中!? ここ2年の防御率4.99と3.17をどう見るのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャック・フレアティ Aug 27, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースからFAとなった先発投手3人のうち、ウォーカー・ビューラーは、1年2105万ドルの契約でボストン・レッドソックスに入団した。あとの2人、クレイトン・カーショウジャック・フレアティは、まだFAのままだ。

 カーショウは、ドジャースに戻る可能性が高い。FA市場に出たのは、4オフ連続。これまでの3度は、いずれもドジャースと再契約を交わした。それ以外に考えられる選択肢は、地元に近いテキサス・レンジャーズくらいだろう。

 フレアティがどのユニフォームを着るのかは、予断を許さない。MLB.comのマーク・フェインサンドは、フレアティに興味を抱いている球団には、ボルティモア・オリオールズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、トロント・ブルージェイズ、デトロイト・タイガース、シカゴ・カブスが含まれる、と報じている。

 今オフにFAとなった先発投手のビッグ3、コービン・バーンズブレイク・スネルマックス・フリードは、いずれも大型契約を得て、FA市場から姿を消した(「バーンズ、フリード、スネルの3投手とも1億8000万ドル以上で契約。先発投手の総額歴代トップ20入り」)。

 彼らに次ぐ存在として、フレアティの人気が高まるのは頷ける。バーンズやフリード、レッドソックスからFAとなったニック・ピベッタらと違い、フレアティは、ドジャースからクオリファイング・オファーを申し出られていない。昨夏のトレードでタイガースからドジャースへ移ったので、最初からクオリファイング・オファーの対象外だった。ちなみに、過去に申し出られたことがあるスネルも、対象から外れていた。

 フレアティは、2024年に162.0イニングを投げ、奪三振率10.78と与四球率2.11、防御率3.17とFIP3.48を記録した。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 160イニング以上の61人中、フレアティの奪三振率と与四球率は3位と15位、防御率とFIPは13位と17位に位置する。この4部門ともトップ20にランクインした投手は、ともにサイ・ヤング賞を受賞したクリス・セール(アトランタ・ブレーブス)とタリック・スクーバル(タイガース)に、ローガン・ギルバート(シアトル・マリナーズ)とフレアティの4人だ。フレアティ以外の3人は、FAになっていない。

 その一方で、2023年は芳しくなく、144.1イニングで奪三振率9.23と与四球率4.12、防御率4.99とFIP4.36だった。直近の2シーズンを見る限り、どちらが本物なのかという疑問も残る。

 ただ、2018~19年は、それぞれ、151.0イニングで奪三振率10.85と与四球率3.52、防御率3.34とFIP3.86、196.1イニングで奪三振率10.59と与四球率2.52、防御率2.75とFIP3.46を記録している。その後、怪我に泣かされた数シーズンを経て、ここ2シーズンはローテーションの一員と投げ、2024年はかつての投球も甦った――あるいは、実力を再び証明した――という見方ができる。

 もともと、評価は低くなく、2014年のドラフトで全体34位指名を受け、高校からプロ入りした。2025年のシーズン年齢(6月30日)は29歳だ。10月15日が誕生日なので、レギュラーシーズンが終わるまで、30歳にはならない。ビッグ3ほどではないだろうが、5年1億ドル程度の契約を手にしても、おかしくない気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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