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同じ年にWBC優勝&ワールドシリーズ優勝は過去2人。今年はダルビッシュ、大谷、ヌートバー、吉田が…

宇根夏樹ベースボール・ライター
WBC優勝 Mar 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 これまで、同じ年に、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝とワールドシリーズ優勝を味わった選手は、2人しかいない。2017年にアメリカとヒューストン・アストロズでプレーした、ルーク・グレガーソンアレックス・ブレグマンがそうだ。ちなみに、当時のアストロズは、ホーム・ゲームで相手バッテリーのサインを盗み、ゴミ缶を叩いて打者に伝えていた。

 彼らと同じく、タイラー・クリッパードもアメリカとアストロズでプレーした――ニューヨーク・ヤンキース→シカゴ・ホワイトソックス→アストロズ――が、この年のポストシーズンには出場していないので、同年優勝の人数には含めていない。どちらもリリーバーのグレガーソンとクリッパードは、それぞれ、2019年のシーズン序盤にセントルイス・カーディナルス、昨年の夏にワシントン・ナショナルズから解雇され、その後は投げていない。三塁手のブレグマンは、現在もアストロズにいる。

 グレガーソンとブレグマンに続き、今年、WBC優勝&ワールドシリーズ優勝の可能性があるのは、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)の4人だ。

 昨年は、パドレスがナ・リーグ西地区2位(89勝73敗)、エンジェルスがア・リーグ西地区3位(73勝89敗)、カーディナルスがナ・リーグ中地区優勝(93勝69敗)、レッドソックスはア・リーグ東地区最下位(78勝84敗)。ワイルドカードでポストシーズンへ進んだパドレスは、ニューヨーク・メッツとロサンゼルス・ドジャースを下したが、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでフィラデルフィア・フィリーズに敗れた。パドレスの前には、カーディナルスも、ワイルドカード・シリーズでフィリーズに屈した。フィリーズとアストロズが対戦したワールドシリーズは、アストロズが制した。

 パドレスとカーディナルスだけでなく、エンジェルスとレッドソックスも、今秋のポストシーズン進出をめざしている。大谷とマイク・トラウトを擁するエンジェルスは、球界を代表するスーパースターの彼らに加え、他の選手も揃って健康を維持し、資質を発揮すれば、ポストシーズンにたどり着いてもおかしくない。

 もっとも、エンジェルスと同じ地区には、前年王者のアストロズとワイルドカードのシアトル・マリナーズに、2オフ続けて大型補強を繰り広げたテキサス・レンジャーズもいる。ア・リーグ東地区もそうだが、ア・リーグ西地区で勝ち進むのは容易ではない。大谷の場合、違うチームの選手としてポストシーズンに出場することも考えられる。

 シーズンが終わると、大谷はFAになる。エンジェルスは、夏の時点でポストシーズンに進めそうにない場合、大谷をトレードで放出して見返りを手にするのが――オーナーのアルトゥーロ・モレノがそうするかどうかには疑問符がつくものの――理に適う。ダルビッシュは、6年1億800万ドルの契約1年目。ポスティング・システムを利用した吉田は、レッドソックスと5年9000万ドルの契約を交わした。ヌートバーがFAになるのは、2027年のシーズン終了後だ。

 なお、通算144セーブのサンティアゴ・カシーヤは、ワールドシリーズ優勝とWBC優勝を続けて味わっている。こちらは、2012年のサンフランシスコ・ジャイアンツと2013年のドミニカ共和国だ。今年のWBCでは、アストロズに在籍している2人、カイル・タッカーライアン・プレスリーが、ワールドシリーズ優勝に続くWBC優勝まで、あと1勝に迫った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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