低圧部に伴う巨大な雲域が発生中、来週にかけての動向に要注意か
西進しつつ熱帯低気圧に
タイトル画像にあるとおり、日本のはるか南海上の赤い丸の中に巨大な雲域が発生していて、気象庁による発表では低圧部が解析されています。低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の渦巻きの循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析されるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。
気象庁による予想では、この低圧部はあす20日(日)までには熱帯低気圧に変わり、あさって21日(月)にかけて、フィリピンの東を西寄りに進む見込みです。ここからの動向は、この北側に張り出している太平洋高気圧の盛衰によるところが大きいのですが、かなり気がかりな予想も見られる状態です。
気になる太平洋高気圧の動向
上図は太平洋高気圧と発生が予想される熱帯低気圧の予想を示したもので、22日(火)頃までは、日本の南から沖縄付近にまでベルト状に太平洋高気圧が張り出している状態が続きます。もしこのままの状態が続けば、熱帯低気圧は西進を続け、フィリピンを指向する可能性が高くなるでしょう。
ところが24日(木)の予想にあるとおり、来週の後半は、沖縄付近での張り出しが弱まる計算も多くなっていて、ここを狙うように熱帯低気圧が北上してくる計算も多く見られます。来週後半にかけての動向は、この太平洋高気圧がどこまで勢力を弱めるかにかかっている状態といえます。
アンサンブル予報では、多くの計算で熱帯低気圧は発達へ
参考までに、上図は日本の約50通りあるアンサンブル予報の一部を抜粋したもので、ともに来週25日(金)午前9時の予想になります。左側が基本的なパターンの予想で、熱帯低気圧はやや発達しつつ、沖縄の南方海上に位置しています。一方真ん中のパターンは太平洋高気圧が強めに張り出して、そのままフィリピンを通過するようなパターン、そして右側がかなり発達しながら沖縄に向かって北上し始めるようなパターンとなります。
大まかな傾向としては、真ん中のフィリピンを指向するようなパターンが全体の4割程度、左側と右側で全体の6割程度を占めている状態です。また来週の週末頃に沖縄から本州付近を指向するようなパターンは全体の3割程度を占めています。このように、今後の動向に関しては、まだかなりばらつきが大きいものの、発達する熱帯低気圧として、日本付近に大きく影響するモデルも一定数ありますので、今後の動向にご注意ください。