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東京で50年ぶりの雨不足 今年の梅雨は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京は記録的な少雨(4/26-5/25:30日間降水量平年比%,気象庁)

4月下旬から全国的に雨が少なく、東京は1967年以来50年ぶりの少雨となっている。今後10日程度、まとまった雨は降らないとみられ、今年の梅雨入りは遅くなる可能性がでてきた。

東京は半世紀ぶりの雨不足

気象庁は26日、東日本太平洋側と西日本の少雨に関する全般気象情報(第1号)を発表しました。先月21日から今月25日までの雨量は東京で53.5ミリ、京都で75.5ミリ、広島で84.5ミリなど平年の半分程度です。全国的にみても、高気圧に覆われる日が多く、雨の少ない状況が続いています(表紙)。

26日は約2週間ぶりにややまとまった雨が降りましたが、それでも、東京の雨量は平年を大幅に下回り、1967年以来50年ぶりの雨不足となっています。

【東京】4/21-5/25 降水量の少ない方ランキング,1876-2017
【東京】4/21-5/25 降水量の少ない方ランキング,1876-2017

記録的な雨不足といっても、東京では冬に次いで、5月上旬が最も雨が少ない。晩春は雨の季節を前に、つかの間、天気が落ち着くときで、ことさら騒ぐ必要はないのかもしれません。

山に積もる雪は「白い石炭」

実は一年前も、関東甲信地方に少雨情報が出されました。昨年5月も雨が少なかったのです。雨不足と聞くと、渇水が心配されますが、今年は26日現在、利根川水系8ダムの貯水率は87%あります。

一方で、記録的な雪不足となった昨年はその後、取水制限へとつながりました。冬季、山に積もる雪は「白い石炭」と呼ばれ、春になって田畑を潤す大切な水資源です。山に雪があれば、多少、雨が降らなくても持ちこたえられる、雪にはこのような意味もあるのです。

今年の梅雨入りは遅い?

例年、6月上旬は梅雨入りの頃です。この雨不足は今後10日間程度続く予想で、九州では梅雨入りが遅れる可能性があります。

平年の梅雨入りカレンダー
平年の梅雨入りカレンダー

そして、東京の梅雨入りは?というと、現時点で遅いとも早いとも言えず。今、注目しているのは梅雨前線の動向を左右する上空の偏西風です。今年は偏西風の北上がやや遅れる可能性があり、梅雨入りのタイミングが見極めにくいかもしれません。

今年と同じように雨不足となった50年前の1967年は、関東甲信地方の梅雨入りが6月22日にずれ込み、過去最も遅くなりました。

梅雨入りは世の中の注目度が高いだけに、いつも悩みます。

先日、元大阪管区気象台長で天気予報の名人といわれた大谷東平氏の本を読んだとき、「春は、待つ人の心によって、早くもなり遅くもなる。「暑さ寒さも彼岸まで」ときめてしまえば、春分までは春は来ないことになる。」の言葉に目が止まりました。梅雨入りも同じようだといったら、軽薄でしょうか。

【参考資料】

気象庁:東日本太平洋側と西日本の少雨に関する全般気象情報 第1号,平成29年5月26日14時00分発表

大谷東平,1986:雨もよし晴れもよし 気象放談,筑摩書房.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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