東京の梅雨は20年前より強く
梅雨入り日の見直しは2年に一度
きょう(8日)午後、関東甲信地方の梅雨入りが発表されました。平年と同じ日の梅雨入りです。
今年の梅雨入りは、沖縄と奄美地方で平年より10日前後遅れましたが、本州の梅雨入りは(今のところ)平年並みです。「今のところ」と付け加えたのは、8月末に梅雨期間の検証を行うためで、今後の天候によっては変更される可能性があるからです。
例えば、最近10年間で関東甲信地方の梅雨入り日は5回変更されました。平均すると2年に一度の割合です。やや多く感じるかもしれませんが、梅雨入りの発表はあくまで今後の天候の見通しを示したに過ぎないのです。
梅雨入りしても、3日目に晴れ
とはいっても、梅雨入り発表の影響は大きく、気象庁が行った気候リスク管理技術調査によると、雨用靴(レインブーツ)の販売数は雨の日の前後に増加し、梅雨入り発表によるアナウンス効果もあるそうです。
左図は東京の梅雨入り後一週間の天気(雨・晴れ)を調べたものです。
梅雨入り発表当日と次の日は約80%の割合で雨になっています。しかし、3日目以降は晴れ間が広がり、4日目は50%の割合で晴れています。
いまさら言うまでもないけれど、梅雨入りしたからといって、毎日、雨が降るわけもなく、空模様というよりも心理的な要素が大きいように思います。
東京の梅雨は20年前より強く
梅雨の雨はザーザーか、シトシトか?
西日本はザーザー降りの陽性型、東日本はシトシト降りの陰性型と言われます。梅雨の総雨量から論じることが多いですが、降水密度からみるとより明瞭になります。
降水密度(ミリ)とはある期間の総降水量を降水日数で割った値のこと。値が大きければ雨の降り方が強く、小さければ雨の降り方が弱いことを表します。
下記の図は主要都市の梅雨の降水密度をグラフにしたものです。
東京が14.8ミリに対して、鹿児島は29.9ミリと実に2倍もの差があり、西日本と東日本の雨の降り方に大きな違いがあることがわかります。また、東京の降水密度は20年前と比べると0.7ポイント増えていて、少しずつですが、梅雨の雨が強くなっているのかもしれません。
梅雨の空はうっとうしいけれど、仏教では「安吾(あんご)」といって、雨の季節は静かに座して修行する時期とされています。冬ごもりならぬ夏(げ)ごもり、昔も今も梅雨の思いは変わらないようです。
【参考資料】
気候情報を活用した気候リスク管理技術に関する調査報告書~アパレル・ファッション産業分野~,気象庁
倉嶋厚,2002:大学テキスト日本の気候,第1章日本の気候の特徴,古今書院.