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ヤンキースのジャッジは、ライト、センター、レフトのどこを守るのか。日替わりで3ポジションも!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)Feb 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2017年以降、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、どの開幕戦でもライトを守ってきた。2017年が「8番・ライト」、2018~22年は「2番・ライト」だ。メジャーリーグ1年目の2016年は、8月13日に昇格するまで、AAAでライトを守っていた。

 だが、今年の開幕戦は、ライトではなく、レフトあるいはセンターの守備につくかもしれない。

 3月8日と9日のエキシビション・ゲームで、ジャッジはレフトを守った。1月に「ヤンキースのレフトは誰が守る!? 20代の元プロスペクト2人とマイナーリーグ契約」で書いたとおり、ヤンキースのレフトは確定していない。そのため、常時ではないにせよ、DHのジャンカルロ・スタントンに外野を守らせるプランも浮上している。

 外野手としてのスタントンの先発出場は、ライトの通算1027試合に対し、レフトは通算59試合に過ぎない。昨年は、DHが65試合、ライトが34試合、レフトは4試合だった。メジャーデビュー以降、ジャッジはライトとセンターしか守っていないが、守備のスキルを考慮すると、スタントンにレフトを守らせるよりも、ジャッジがレフトに回ったほうがいい、ということだろうか。

 流動的な状況は、レフトにとどまらない。センターを守るハリソン・ベイダーは、開幕を故障者リストで迎える。YESネットワークのメレディス・マラコビッツによると、3月8日の試合でスウィングをした際に、左の脇腹を痛めたという。続いて11日には、ニューズデイのエリック・ボランドが、アーロン・ブーン監督は復帰まで6週間程度と語った、と報じている。4月中に出場できるかどうか、といったところだ。

 昨年のヤンキースで、センターとして最も先発出場が多かったのは、ジャッジだった。アーロン・ヒックスが64試合、ジャッジは74試合だ。8月のトレード・デッドラインに、ヤンキースがセントルイス・カーディナルスからベイダーを獲得したのは、ジャッジをライトへ戻すという狙いもあった。

 このままいくと、ジャッジは、開幕戦でセンターを守る可能性が高い。両隣のレフトとライトは、それぞれ、ヒックスとオズワルド・カブレラが有力だ。

 33歳のヒックスは、昨年、攻守のどちらも精彩を欠き、ヤンキー・スタジアムでブーイングを浴びせられた。外野の台所事情にも助けられ、再びチャンスを与えられる格好だ。24歳のカブレラは、外野も守る内野手。昨年8月にメジャーデビューし、先発出場の41試合中32試合は外野ながら、マイナーリーグでは、二塁と遊撃、三塁を守ってきた。

 レフトもライトも固定できない状態が続けば、ジャッジは、日替わりで3ポジションを守ることにもなりかねない。

 ベイダーの早期復帰とともに、エステバン・フロリアルのブレイクも待たれるところだろう。フロリアルは25歳。メジャーリーグの出場は、過去3シーズンに計29試合だ。昨年は、AAAの101試合で、打率.283と出塁率.368、15本塁打と39盗塁を記録した。メインのポジションは、センターだ。

 もっとも、ここまでのエキシビション・ゲームで、フロリアルは、22打数3安打、10三振と打てていない。

 一方、こちらもセンターを定位置とする、20歳のジェイソン・ドミンゲスは、21打数9安打、4本塁打と打ちまくっている。メジャーリーグとAAAでプレーしたことはなく、AAの出場も10試合に満たないものの、もしかすると、大抜擢の開幕ロースター入りとなるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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