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アン・シネに聞いたセクシーなウェアを着る理由。返ってきた”意外”な答えとは……

金明昱スポーツライター
連日多くのギャラリーを引き連れるアン・シネ(写真:gettyImages)

なぜこんなにもセルフプロデュースがうまいのだろうか――。

国内女子ゴルツアーのワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップに出場しているアン・シネを見ながらそう思っていた。

連日、ウェアのことが話題になっているが、昨日の3日目は真っ赤のタイトなウェアで胸を強調し、ミニスカートで見る者の目を留まらせていた。

その赤に合わせてか、高発色な赤い口紅がまたセクシーさを際立たせていたが、いやらしさは感じられなかった。

今季から日本ツアー参戦を表明していた“セクシークイーン”アン・シネ。今大会が初戦だが、その関心の高さと注目度は、予想をはるかに超えるものだった。

初日は1万3000人のギャラリーが訪れ、アン・シネを追うギャラリーは日に日に増えていった。

新聞やネットには“膝上30センチ”の超ミニスカート、スタイルを強調したタイトなウェアの写真がこれでもかというほど掲載され、男性ファンを釘付けにしている。

試合中もカメラを向けられれば手を振って、笑顔を振りまく姿がとても印象的だった。

韓国ツアーでは2ショットサービスも

さらに彼女は自分を待つギャラリーの大行列を前に、すべての人たちにサインを毎日約40分~1時間はこなしていた。

初戦だからということもあるだろうが、これほど徹底的にファンサービスができる選手は多くはない。

余談だが、韓国女子ツアーではホールアウト後に選手と自由に写真を撮ってもよく、スマートフォンを使って選手と2ショット写真を撮る光景をよく目にする。

日本ツアーでは考えられないことだが、それくらいファンを大事にする文化が根付いており、韓国人選手はそうしたファンサービスに慣れているという部分もある。

アン・シネの日本マネジメントを担当するNOWONの松宮由季氏は「シネは何をやらせても本当にプロフェッショナルで、すごく安心ができます。プレー中のマナーや立ち居振る舞いを見ていても本当に自分を魅せるのがうまい」と日本でのブレイクに太鼓判を押す。

ギャラリーは連日、アン・シネのウェアに釘付けだ(写真:gettyimages)
ギャラリーは連日、アン・シネのウェアに釘付けだ(写真:gettyimages)

そこで直接、アン・シネに聞いてみた。話題になるタイトなウェアやファッションは、周囲を意識してのことなのかと。するとこんな答えが返ってきた。

「プロだからちゃんと見せることも意識はしていますが、それよりも私がウェアにこだわるのは、自分が気に入っている物を着ることで、気分が晴れやかになり、気持ちよくプレーできるからなんです。私の気分も上がり、成績も良くなれば、ギャラリーも一緒に盛り上がれますよね? 私のプレーを見てギャラリーの方も一緒に楽しんでもらえるのなら、それはすごくありがたいことです」

多くのギャラリーを意識して、ミニスカートやタイトなウェアを着ているのだと思ったら、一番は自分のプレー中の気持ちを上げていくためのものだとアン・シネは言った。

その延長線上でファンも一緒に盛り上がってもらいたいと感じているという。

ただ、ホールアウト後の取材対応、ファンサービスや立ち振る舞いを見ていると、彼女は自分の置かれた立場をよく熟知しているのだと感じる。26歳ながら自分の魅せ方がうまいのも確かだ。

日本のゴルフ文化は不思議

振り返れば、来日前からこれだけ話題になった韓国人の女子プロゴルファーは見当たらない。

現地取材に来ていた韓国紙『スポーツ東亜』のチュ・ヨンロ記者は「こんなにもアン・シネが日本で人気になるとは想像以上。イ・ボミの人気の高まりも含め、日本のゴルフ文化はとても不思議です。これからも多角的に取材する必要がありますね」とアン・シネが社会的現象になっていることに驚きを隠せないでいた。

ただ、韓国女子ツアーでも、アン・シネの人気は高い。試合に出れば彼女の写真はネット上に多くアップされ、セクシーなウェアも話題になる。

とはいえ、アン・シネを珍しいもの見たさに訪れたギャラリーもいるだろう。確かに昨日はギャラリーの中から「どうせ見た目だけなんだろ」という声もチラホラ。

だが、アン・シネはメジャーながらもきっちり予選通過を果たし、3日目の昨日は4バーディ、2ボギーの70で回った。前出の松宮氏も「これで(ギャラリーの)シネへの見る目が変わったはず」と笑顔を見せる。

最終日は32位タイからのスタートだが、どこまで巻き返せるか注目だ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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