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五郎丸歩ら世界選抜、日本代表(JAPAN XV)と対戦。選考基準&見立ては。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
フォトセッションは盛況。右から2人目がディーンズ監督。

 2019年のラグビーワールドカップ日本大会まで、あと2年。日本代表は10月28日、JAPAN XVという名称を掲げ世界選抜と対戦する(福岡・レベルファイブスタジアム)。今秋組まれたツアーの皮切りとなる。

 23日、都内で世界選抜の会見が実施された。2015年のワールドカップイングランド大会で日本代表だった五郎丸歩らが出席。さらにロビー・ディーンズヘッドコーチは、イングランド大会直前にも世界選抜の指揮を執ってJAPAN XVとぶつかった経験を踏まえ意気込みを明かした。元オーストラリア代表監督として、現日本代表のワールドカップへの準備状況についても私見を明かした。

 以下、参加者談話(編集箇所あり)。

ディーンズ

「今回の世界選抜対JAPAN XVの試合ですが、2015年に続き特別な体験ができると信じています。なぜなら両チームに色々な国籍の方々が集まっていて、対戦をするからです。日本には2019年、ワールドカップがあります。日本のラグビーファンの方にさらなるモチベーションを提供できればと思います。2015年の日本代表と対戦しましたが、それが当時の日本代表に準備を提供できた。今回も日本代表にとって同じようなステップになることを心から楽しみにしています」

五郎丸

「海外で色んな経験をさせていただいて、ロビー・ディーンズ監督にワールドフィフティーンに選んでいただいて、私が生まれた福岡で日本代表と試合ができる。本当に素晴らしいと思いますし、エキサイティングしています。個人というより、チームでひとつになって日本代表にぶつかっていきたいです。

(日本代表には)2015年を一緒に戦ったプレーヤーもいますし、楽しみです。先ほどロビー・ディーンズ監督も仰いましたが、ワールドカップの前にワールドフィフティーンと戦わせていただいて、しっかりと自分たちのレベルが見えました。日本代表にとって、この試合が2019年に向けた素晴らしい準備になるように全力を尽くします。

 同期の山田章仁、堀江翔太、そことの対戦にはライバル視して、楽しんで戦いたいです。これまで日本の選手が海外のセレクトチームでプレーすることは少なかった。そんななか、日本の選手の価値を少しでも高めていきたい」

エドワード・カーク(日本代表とリンクするサンウルブズでプレー)

「まずこの場を借りて、選抜してくれたヘッドコーチに感謝したい。どんな気持ちで戦うか…。知っている仲間と敵同士で戦いますが、どんなゲームでも同じ。最善を尽くす。それは変わりません」

ベリック・バーンズ(元オーストラリア代表。現在ディーンズが率いる日本のパナソニックでプレー)

「2015年にも世界選抜で素晴らしい経験をさせていただきました。次のワールドカップに向かって、今回のことも日本代表の素晴らしい準備になればと思っています。五郎丸さんもいますし、高校時代から知っているカークもいて、他にもアルゼンチン、イタリアなどから選手が集まる。グローバルなチームで経験ができるのを嬉しく思います。

 最後に一点だけ。今回は普段はパソニックで一緒にやっている仲間と世界選抜で戦うわけですが、互いによく知るチームメイトと戦うのはいい面も悪い面もあります。そんななか、私が期待しているのは、パナソニック所属をはじめとした日本代表選手にどんな潜在性があるのかを世界選抜側から見極めたいです。

 福岡堅樹、山田章仁はファンタスティック。他にも布巻峻介、堀江翔太、稲垣啓太…。彼らと相対して試合ができるのを楽しみにしております」

 以下、会見中のディーンズヘッドコーチの一問一答の一部(編集箇所あり)。

――日本代表はどんなチームに映るか。今回はどんな準備をして臨みたいか。

「これからジェイミーのもと、どんどんモチベーションが上がっていくだろうと思っています。日本代表と世界選抜の試合は重要な意味を持っています。世界選抜だからと言って簡単に勝てるとは思っていません。我々もかなり苦労すると思いますが、私たちの実力を出していきたい。日本代表のスピード、スキルを注目したい。2年後のワールドカップに向け、今度は素晴らしい試金石になれば。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとトニー・ブラウンアタックコーチ、2人の組み合わせでどんどん先へ進んでほしい」

――今回のメンバーのセレクションポリシーについては。

「まず能力、そしてグッドキャラクターかどうかが重要です。特に後者が重要なわけは、全く知らない選手が集まるなか、普段と違う努力をしなくてはならないからです。それから、選手のスケジュールが空いているかどうかも重要でした! やっとチームが選抜できた時間は、朝の3時でした。そこがほっとした瞬間です」

――改めて、日本代表の準備状況はどう映りますか。

「本当に準備がきちんとできていると思いたいとは、思います。肉体だけでなく精神面も含め、一生懸命に準備をしているところでしょう。今回、実際に試合に臨んで、私がいまこう言ったのが正しいのかどうかを確認したいと思います。私たちと対戦することで、日本代表が世界に羽ばたけるようにしてほしいです。2019年はまだ先だと思われると思いますが、そんなに時間があるとは思えません。チャンスをものにして2019年に向かっていくべきだと思います」

――ゴールキッカーはどうするのか。

「素晴らしいキッカーがいるが、キックオフで決めようかと思います。試合直前のウォームアップで決めようかなぁ。または投票で決めることもありそうです」

 ディーンズ監督は会見中、スポンサーであるAIGの社業を絡めたコメントも発信。世界的なプロコーチとしての態度を貫いた。日本代表については、「本当に準備がきちんとできていると思いたいとは、思います」。本人の口癖を借りれば、当日は日本代表へ「質問を投げかける」ような試合をしそうだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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