【チョコレートの歴史】カカオの始まりを辿る物語!アマゾンの森からメソアメリカへ
カカオの木はアマゾンの深き熱帯雨林で、悠久の時を経てその命を育んできました。
その栽培の最古の証拠は、紀元前3300年頃のエクアドルに遡ります。
この地に住むメイヨーチンチペ文化の人々が、初めてカカオを飼いならしたとされているのです。
陶器に残された古代のDNAやテオブロミンの痕跡が、彼らの営みをそっと語ります。
その後、カカオは南アメリカ沿岸に広がり、甘い果肉がオルメカ人の手によりアルコール飲料へと姿を変えました。
やがてメソアメリカの地で、カカオは文明の象徴として花開きます。
モカヤやオルメカの人々はカカオを飲料とし、社交や儀式の中心に据えました。
装飾が施された陶器は、カカオが地位や交流を示す重要な存在であったことを物語っています。
その始まりは、アマゾンの森に抱かれた小さな実からだったのです。
ソフィー・D・コウ&マイケル・D・コウ著、樋口幸子訳(1999)『チョコレートの歴史』河出書房新社