【チョコレートの歴史】泡立つ杯、神々への贈り物!マヤ文明とチョコレートの神秘
マヤの地において、チョコレートは単なる飲み物を超えた特別な存在でした。
紀元前600年ごろからその姿が記録され、公式儀式や婚礼、宗教儀式の中心に据えられてきました。
カカオ豆は通貨としても用いられ、貴族たちはこれを贈り物に選び、神々への供物として捧げたのです。
庶民がこれを口にできたかどうかは謎のままですが、その刺激は成人男性の特権とされていました。
マヤの人々は、カカオ豆を焙煎し、石の上で丹念にすり潰してペーストを作り、それを水や香料と混ぜました。
イヤーフラワーやバニラを加え、泡立て器「モリニージョ」で攪拌して生まれるふんわりとした泡が、飲み物の品質を決める重要な要素でした。
この泡立つ茶色の液体は、香り、色、泡の濃さでその価値を示したのです。
カカオは神話と深く結びつき、守護神エクチュアへの信仰とともに、神々の贈り物として崇められました。
血とカカオの象徴的な繋がりは、後のアステカ文明に受け継がれ、神聖な儀式の中で重要な役割を果たしました。
マヤのチョコレート文化は、文明の崩壊後もその輝きを失わず、新たな地へと広がり続けたのです。
ソフィー・D・コウ&マイケル・D・コウ著、樋口幸子訳(1999)『チョコレートの歴史』河出書房新社