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御嶽海が優勝&大関昇進へ大きな白星 大混戦の初場所は「三つ巴」の可能性も

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
写真:毎日新聞社/アフロ

御嶽海が単独トップに! 優勝争いは混戦か

2敗の横綱・照ノ富士と関脇・御嶽海、そしてそれを追う3敗の阿炎と琴ノ若が、優勝争いを牽引する大相撲初場所。前日、阿炎を会心の相撲で倒した御嶽海は、この日も絶好調で土俵を沸かせた。

すでに9勝を上げている宝富士を相手に、得意の出足を生かして前に出続け、最後は送り出し。抜群の相撲を見せた。取組後、若干足を気にする素振りもあったが、この流れに乗って「大関」の夢をかなえられるか。

琴ノ若は、柏相撲少年団の3つ先輩である隆の勝と対戦。番付の上下だけでなく、先輩・後輩対決ということもあり、隆の勝に分があると思われた。

しかし、立ち合いから互角の当たりを見せ、隆の勝に攻め込まれるも、最後の土俵際で逆転の上手投げが決まった。3敗を守った琴ノ若。この時点で優勝争いに残ることになった。

結びの一番は、照ノ富士対阿炎。先場所では、横綱がかなり余裕を見せて勝ったが、今場所はどうだろうか。

立ち合い。阿炎が夢中で手を伸ばし、横綱をのけぞらせる。横綱も必死でこらえようとするが、阿炎の突き押しがどんどん繰り出され、なんとそのまま押し切って押し出し。自分の相撲を取り切り、見事な金星を獲得した阿炎には「あっぱれ!」の一言である。しかし、横綱は膝が万全な状態でないのであろうことは容易に想像される。千秋楽まで、どうにか膝がもってくれるよう、神頼みをしておく。

これにより、御嶽海が2敗で単独トップに躍り出た。千秋楽は、照ノ富士との対決。勝てば3回目の優勝を手にするだけでなく、大関昇進にも大きく前進することとなるだろう。

一方で、横綱が勝てば3敗力士での優勝決定戦(巴戦)も予想される。阿炎と琴ノ若は直接対決。この対決の勝者にも、十分チャンスはあるといえる。いったい4人のうちの誰が賜杯を手にするのか。最後まで見逃せない展開となった。

19歳の熱海富士 新十両をほぼ確実なものに

十両の土俵では、幕下筆頭の熱海富士が、新十両の琴裕将を寄り切って勝ち越しを決めた。熱海富士の左足が出たのではないかと物言いがつき、協議の時間は気が気でなかっただろう。しかし、無事に軍配通り熱海富士の勝ちとなり、来場所での新十両をほぼ確実なものとした。

母子家庭で育ち、早く十両に上がって母を楽させてあげたいと話していたという熱海富士。引き上げる花道では、あふれる思いが涙となってこみ上げてくるのをこらえられない様子が中継で映し出された。期待の19歳。すでに多くのファンが魅了されている。

いよいよ千秋楽。十両・幕内共に、混戦も予想される見逃せない展開となっている。

<参考>優勝争いの行方

▽12勝2敗 御嶽海

▽11勝3敗 照ノ富士 琴ノ若 阿炎

・御嶽海が照ノ富士に〇 → 御嶽海の優勝決定

・御嶽海が照ノ富士に● 阿炎が琴ノ若に〇 → 照ノ富士、御嶽海、阿炎による優勝決定戦

・御嶽海が照ノ富士に● 阿炎が琴ノ若に● → 照ノ富士、御嶽海、琴ノ若による優勝決定戦

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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