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大相撲九州場所は番付最上位の大関が争う展開!勝つのは琴櫻か豊昇龍か、大関の意地がぶつかる千秋楽結び

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
琴櫻は今日、千秋楽で豊昇龍と優勝争いに臨む(写真:東京スポーツ/アフロ)

出場する番付最上位の二人が、千秋楽結びの一番で優勝を争う。こんなにもシンプルでワクワクする場所は久しぶりだ。大関同士の相星決戦は、魁皇対千代大海以来実に21年ぶりだという。

速攻と執念の豊昇龍 気迫と冷静の琴櫻

大相撲九州場所十四日目。1敗でトップを走るのは、琴櫻と豊昇龍の両大関。場所前は新大関・大の里に話題をかっさらわれ、先輩大関の矜持がくすぐられたに違いない。両者ここまで一歩も引かず、連日土俵を沸かせてきた。

結び前、琴櫻はそんな大の里と対決。先場所は飛ぶ鳥を落とす勢いの大の里に土をつけられた琴櫻だったが、今場所は冷静に、かつ力強く仕留めた。胸と胸でぶつかり合い、じりじりとにじり寄られるも、琴櫻の足が俵にかかった瞬間、左から豪快に投げて上手投げ!力強さと落ち着きが同居する堂々たる一番を制した。

結びは豊昇龍と霧島。これまで9-9と五分の成績だったが、やはり勢いに乗る豊昇龍が動きのよさを見せつけた。立ち合いから素早く霧島を抱え込むと、強靭な下半身をフルに使って持ち上げ、豪快な吊り出し!圧倒的な速さで軽い相手をますます軽く土俵外へ持っていってしまった。

こんなにもシンプルな「優勝争いの行方」。番付の重みを見せつけてくれた両大関には頭が下がる思いだ。琴櫻は勝てば初優勝、豊昇龍も、勝てば大関としては初めての優勝となる。さらには、どちらが勝っても来年の初場所は「綱取り」。角界の未来を明るく照らす贅沢な千秋楽結びの一番を、楽しく見届けよう。

天国の北の富士さんを偲んで

場所中、かねてから闘病されていた元横綱・北の富士さんの訃報に角界が涙した。横綱や親方としてはもちろんだが、近年は名解説でおなじみ。多くの好角家に愛された方だった。いつかは訪れる日だったかもしれない。それでも、もし北の富士さんが今場所を見ていたら、と思わずにいられない。

北の富士さんだったら、今回の二人の大関の活躍を、きっと喜んで褒めてくれていたと思う。そして、今日の結びで勝ったほうも負けたほうも心から労ってくれるに違いない。天国で、久しぶりに再会した玉の海さんと二人、おいしいお酒を酌み交わしながら、今場所の結末を見守っていてください。合掌。

<参考>優勝争いの行方

▽13勝1敗 琴櫻、豊昇龍

琴櫻と豊昇龍の勝ったほうが優勝

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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