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ポケモン実写映画、中国資本のレジェンダリーが権利を獲得

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

「ポケモンGO」のリリース以来、再び熱が高まっていた「ポケモン」ハリウッド実写映画が、レジェンダリー・エンタテインメントによって製作されることになった。世界配給はユニバーサル・ピクチャーズ、日本での配給は東宝が行う。レジェンダリーは、今年1月、大連万達グループが買収しており、中国資本下にある(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160108-00053219/)。

「ポケモン」実写映画化権獲得には、ソニー・ピクチャーズやワーナー・ブラザースも興味を示しているとの報道が出たが、レジェンダリーは、早くから有力視されていた。大きな理由のひとつに、レジェンダリーが、つい最近、やはりゲームの映画化である「ウォークラフト」を中国で大ヒットさせたことがある。「ウォークラフト」は北米では惨敗だったが、中国では公開初週末に1億5,600万ドルを売り上げた。大連万達は、中国最大の劇場チェーンを所有し、スクリーンを確保する上での利点もある。最近、大連万達は、ヨーロッパ最大の劇場チェーンも買収したばかり。レジェンダリーは、「ウォークラフト」でユニバーサルと、「GODZILLA ゴジラ」で東宝と組んだ歴史がある。

映画のタイトルは「Detective Pikachu」。主人公がピカチュウであること以外は、わかっていない。撮影は来年開始の予定ということだ。

ポケモンのアニメは、欧米でも昔から子供たちに人気があるが、「ポケモンGO」は、これまでとまったく違う層にまでファンを広げることになった。モバイル市場リサーチ会社Mフォーが、「ポケモンGO」ユーザー1,000人を対象に行った調査レポートでは、34%が、過去にポケモンのゲームをしたことはなかったと答えている。女性に限ると47%だ。あまりにも話題になっているため、普段ゲームをやらない人も試してみたくなったことがわかる。

人種別に見ると、「ポケモンGO」で初めてポケモンのゲームにトライしたと答えた割合は、白人が32%、黒人が49%、ヒスパニックが40%、アジア系が31%。アジア系と白人の間で、より知られていたポケモンが、「GO」の大ヒットで、黒人やヒスパニックにもリーチしたということだろう。映画スタジオにとってはさらに魅力的なことに、ユーザーの83%は、18歳から34歳にかけての、いわゆるミレニアル世代だ。アメリカの映画業界は、今、若い世代の映画館離れに頭を悩ませているところだけに、この層を引き込めるのは、業界全体にとってポジティブなことである。また、調査対象者の71%が、「ポケモンGO」は「長い間ヒットし続けると思う」と答えているのも、これから映画を作ろうとしている人々にとっては、希望が持てる。

「ポケモンGO」は、業界関係者間にもファンを増やしている。先日も、ニュース番組の生放送中に、スタジオの脇でプレイしていたキャスターが、ポケモンを探して、天気予報を伝えているレポーターの前を歩き過ぎてしまった事件があった。ハリウッドセレブにも、エレン・デジェネレス、アビゲイル・ブレスリン、ジョナス・ブラザース、ジョン・メイヤー、ブライアン・クランストンなど、ファンが多数いる。ゲームの人気が実際に長続きすれば、豪華キャストを集めることも、夢ではないかもしれない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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