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クリス・プラットとシュワルツェネッガーが父子に。ほかにもいるハリウッドのパワー義家族

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
クリス・プラットとキャサリン・シュワルツェネッガー(写真:Splash/アフロ)

 ハリウッドに、最強の父子が生まれることになった。とは言っても、義理の父子だ。クリス・プラットが、アーノルド・シュワルツェネッガーの娘キャサリンと婚約したのである。

 クリスは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ジュラシック・ワールド」などに主演する、現在最も注目のアクションスター。71歳のアーノルドも、今年は新たな「ターミネーター」映画が控えており、まだまだ現役だ。そのうち、お互いの映画がボックスオフィスで戦うことになるのではという期待も高まる。また、昨年の「ミッドナイト・サン〜タイヨウのうた〜」に主演したパトリック・シュワルツェネッガーはキャサリンの弟だ。この義兄弟の共演も、将来的にはあるかもしれない。

 カリフォルニアの州知事まで務めた伝説の人を義理の父にもつとはやりづらそうとも感じるが、そもそも、このカップルの出会いは、アーノルドの妻マリア・シュライバーが取り計らったもの。最初から義理の母のお墨付きをいただいていたとあれば、気が楽だ。

 ハリウッドには、パワー義家族が、ほかにもいる。たとえばエミリー・ブラントとスタンリー・トゥッチもそう。「プラダを着た悪魔」(2006)で共演した時、スタンリーは当時の妻と結婚していたが、彼女は不幸にも2009年、乳がんで亡くなった。その翌年、エミリーとジョン・クラシンスキーはイタリアで結婚式を行い、そこでスタンリーはエミリーの姉フェリシティと出会う。2年後にふたりが結婚したことから、スタンリーとエミリーは義理の兄妹となった。

 また、キャメロン・ディアスの義理の妹は、以前からの友人ニコール・リッチーだ。ディアスの夫ベンジー・マッデンとニコールの夫ジョエル・マッデンは、双子の兄弟で、バンドメイト。これならばファミリーの集いも毎回相当に楽しいことだろう。仲良し度では、ジェイク・ギレンホールとピーター・サースガードも負けない。ジェイクの姉マギーがピーターと結婚して義兄弟となる前にも、ふたりは映画で共演したことがあり、一緒にジョギングする様子などが、たびたび目撃されている。

 現在は法的なつながりはないが、以前はバーブラ・ストライサンドとダイアン・レーンも義理の母娘関係にあった。バーブラの夫ジェームズ・ブローリンが最初の妻との間にもうけたジョシュ・ブローリンが、ダイアンと結婚したからである。ジョシュとダイアンは子供の頃からハリウッドで仕事をしてきたため、顔見知りではあったが、交際を始めるきっかけとなったのは、バーブラだったようだ。また、ジョシュとダイアンが離婚をする時も、ダイアンに不利にならないよう、バーブラは彼女の側に立って手助けをしてあげたと報道されている。

 もちろん、家族関係になってしまったことで、嫌なことに巻き込まれる場合もある。アリソン・ブリーは、いい例だろう。

 Netflixの「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」でゴールデン・グローブや映画俳優組合賞(SAG)などにノミネートされ、急速に注目を浴びる存在となった彼女がデイブ・フランコと結婚したのは、2017年3月。その秋に「#MeToo」運動が勃発し、年明け早々、デイブの兄ジェームズ・フランコの、過去のセクハラ事例が暴露されてしまった。ジェームズが監督と主演を兼任する伝記コメディ映画「The Disaster Artist(日本未公開)」も、それまではアワード戦線で勢いに乗っていたのに、これを境に、まるで最初から存在しなかったかのごとく、人の話題から消えてしまう。

 それでも、この映画にアリソンが出演していたという事実も、ジェームズがアリソンの義理の兄であるという事実も、消えない。授賞式のレッドカーペットで、アリソンは、できれば聞かれたくないであろう質問を投げかけられることになっていた。以後は、「#MeToo」で名が挙がったほかの男性たち同様、ジェームズもすっかり姿を消している。それでも、家族は顔を合わせているはずだ。彼らの間では、今、どんな会話が交わされているのだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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