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リリーフ投手同士のトレードで、今年の防御率が1点高く、年齢も3歳上の投手を獲得した球団の狙いは!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
スコット・バーロー Aug 7, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月17日、クリーブランド・ガーディアンズとサンディエゴ・パドレスは、1対1のトレードを成立させた。どちらの球団も、右のリリーフ投手を放出し、右のリリーフ投手を獲得した。エンジェル・デロスサントスがガーディアンズからパドレスへ移り、スコット・バーローはパドレスからガーディアンズへ移籍した。

 現在の年齢は、デロスサントスが27歳、バーローは30歳だ。来月、ともに誕生日を迎える。今シーズンは、デロスサントスが70登板の65.2イニングで防御率3.29、バーローは63登板の68.0イニングで防御率4.37を記録した。

 デロスサントスのほうが3歳若く、今シーズンの防御率は1点以上低い。それに加え、年俸が安いのも、保有できる期間が長いのも、デロスサントスだ。今シーズンの年俸は、75万ドルと530万ドル。両投手とも、年俸調停の申請権を持っている。FAになるのは、デロスサントスが2026年のオフ、バーローは2024年のオフだ。

 ただ、2021年以降の3シーズンは、デロスサントスが153登板の154.1イニングで防御率3.91、バーローは203登板の216.2イニングで防御率2.95。こちらの防御率は、バーローのほうが1点近く低い。また、バーローは、この夏にカンザスシティ・ロイヤルズからパドレスへ移り、そこからの25登板で29.1イニングを投げ、防御率3.07を記録している。

 ガーディアンズは、クローザーのエマニュエル・クラッセにつなぐ、来シーズンのセットアッパーとして、デロスサントスよりもバーローのほうが上、と見ているのだろう。

 クラッセが怪我に見舞われた場合も、想定しているのかもしれない。バーローは、2021年の夏から今年の夏に移籍するまで、ロイヤルズでクローザーを務めていた。デロスサントスにクローザーは無理、というわけではないが、セーブを挙げたのは、昨シーズンの1試合しかない。

 パドレスがバーローを手放したのは、支出の削減が目的だと思われる。交換にデロスサントスを得たことで、ブルペンの弱体化を防ぐこともできる。デロスサントスの奪三振率は、2021年が12.23、2022年が10.29、2023年は8.50と下がっているが、スタットキャストによると、4シームの平均球速は落ちていない。94.8マイル→95.3マイル→95.6マイルと推移している。

 なお、バーローは、ブレイク前に日米野球のメンバーとして、来日している。それについては、こちらで書いた。

「日米野球史上、最も実績の乏しい選手!? メジャーリーグ出場は6試合」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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