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スーパーウエルター級が熱い。米国デビューを控えたWBO1位&世界チャンプの愛息が練習を公開

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 3月26日のアメリカデビューを控えたWBOスーパーウエルター級1位、WBC/IBF同級3位のティム・チューが、ラスベガスでの練習を公開した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20220316-00285804

 写真をご覧頂ければお分かり頂けるように、スーパーライト級の世界王者だった父、コンスタンチン・チューの風貌に良く似ている。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 試合2週間前にラスベガスに降り立ったティム・チューは言った。

 「ベガスでは過去に何度かキャンプを張ったことがあります。試合会場であるミネアポリスとそれほど遠くないですし、温暖な気候ですよね。まず、この地で調整して、時差ボケを解消し、肉体も精神も研ぎ澄ませて現地入りしますよ。

 勝つためにアメリカに来ました。ノックアウトを飾ってみせます。開始ゴングから全てのラウンドで、一瞬一瞬、相手を圧倒します。自分の目的はKOで勝つことです。ジェフ・ホーンを下した日(2020年8月26日)から、アメリカデビューを目指してきました。ようやく新たなステージに立てますね。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 父は今回のファイトについて、あんまり語らないですね。とにかく、これまでと同じようにしっかり準備しておけ、という感じでしょうか。僕はプロですし、ノンストップで戦い続けるつもりです。他のファイターのような、休息やハネムーンは必要ないですね。

 SHOWTIMEが自分の試合を放送してくれるなんて、嬉しくて仕方ありません。幼い頃から夢見ていましたから。世界タイトルマッチでもないオーストラリア人の米国デビューが、同局でオンエアされるなんて初めてでしょう。

 見応えのある試合になると思いますよ。(対戦相手のWBO11位)テレル・ガウシャはハンドスピードがあるし、多彩なパンチを打てます。勝利する能力を持ったいい選手です。ああいうタイプ、僕は好きなんです。楽しんで戦えそうですね。

 ただ、ガウシャから特に目立った物は感じません。これは自分のリングですから、支配します」

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 SHOWTIMEは、5月14日にティム・チューと同じ階級であるWBA/WBC/IBF王者、ジャーメル・チャーロvs.WBOチャンプ、ブライアン・カスターニョ戦を組んでいる。昨年7月17日にドローとなった一戦の、ダイレクト・リマッチだ。

 チューは現在、WBOの指名挑戦権を持っているだけに、今週末の試合をモノに出来れば、5月14日の勝者に挑む可能性は大いにある。

 「僕はスーパーウエルター級の選手、誰とでも戦いますよ。世界のベルトを巻きたいですから。チャーロでもカスターニョでも勝つ自信は十二分にあります。

 チャーロは慎重なファイターで、左右のパンチに破壊力がありますね。前回も何度かカスターニョをグラつかせました。カスターニョも狙い澄ましたドンピシャの一発を放ちましたよね。カスターニョが勝つなら判定、チャーロが勝者となるならKOだと予想します」

 ティム・チューの存在は、スーパーウエルター級を燃え上がらせそうだ。IBF、WBC、WBAでスーパーライト級王者となった父、コンスタンチンを超えることが出来るだろうか。まずは米国デビューに注目したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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