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元ミドル級世界チャンプvs.殿堂入りした3階級制覇王者の息子

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
メイウェザーと戦った頃のモズリー父(写真:ロイター/アフロ)

 今週末、元WBAとIBFでミドル級チャンピオンの座に就いたダニエル・ジェイコブス(37)と戦うシェーン・モズリー・ジュニア(33)。身長185センチ、リーチ196センチと、ライト、ウエルター、スーパーウエルターの3階級を制した実父より二回りほど大きなサイズだ。

 殿堂入りを果たした名チャンピオンである父は、21勝(12KO)4敗のジュニアについて、言う。

 「息子はジムで素晴らしい仕事をしている。毎日ハードワークを重ねているよ。本当に仕事に打ち込んでいる。キャンプでの彼をしっかり見てきたし、トレーナーが彼に課したメニューの全てに納得している。

 心身共に息子は健康で、どんなことに対しても挑戦する準備をしてきた。誰もが世界チャンピオンになりたいと思っているよね。彼もこの試合を楽しみにしている筈だ。

 私は息子と何度かリングで手合わせしたが、とても強くて速い。非常に戦いにくい相手だよ。私は、この試合に息子が勝つと予想する。ジェイコブスがブランクによってついた錆を振り払うのは難しいだろう。私は息子の成長を見てきた。肉体的のみならず、精神的にもね。彼が大きく飛躍したことを感じる」

モズリー父
モズリー父写真:ロイター/アフロ

 父の言葉を受けた、シェーン・モズリー・ジュニアも語った。

 「調整は順調です。今回、僕はチャンスに恵まれましたね。これは若いファイターが夢見る一戦ですよ。

 目の前に大きな試練が待ち受けているのでしょうが、逆境はその人自身を表すもの。自分の価値を示すためには、こんな瞬間が必要です。だから戦うんですよ。僕は自分の人生を作るためにボクシングをやっています。父のためではありません。父は、人間は本気を出せば素晴らしいことができると教えてくれましたが、僕は自分のためにボクシングを始めました。このスポーツが好きです。レジェンドになりたいし、歴史に名を残したい。そのためには、彼に勝つしかないんです。

 これはステップアップとなるファイトです。ダニエル・ジェイコブスのような偉業を成し遂げた選手と戦ったことは、まだないですからね。こんなチャンスからは絶対に逃げませんよ」

モズリー父と祖父のジャック
モズリー父と祖父のジャック写真:REX/アフロ

 モズリーも、実父の指導を受けて名チャンピオンとなった。3代続くボクシングファミリーは、新たな成功を得られるか。7月6日は、カリフォルニア州アナハイムでは、どんなファイトが見られるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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