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中学生が箱根・大涌谷の謎を解明!黒たまごの真実とは?

TOUYA化学系研究者

 箱根の中でも一際異彩を放つ大涌谷は、約3,000年前の神山崩壊によって形成されました。硫化水素を含む噴煙が絶えず上がり、立ち枯れた木々と赤茶けた地肌が荒涼とした風景を作り出しています。江戸時代までは「地獄谷」や「大地獄」と言われていました。

 ロープウェイからはこの壮大な景色を一望でき、地熱活動や化学物質の影響を目の当たりにすることができます。硫気と水蒸気が100度前後で噴出し、時には富士山の壮大な姿と共に眺められることも。この地は、生きている地球の息吹を感じることができる貴重な場所です。

大涌谷の名物「黒たまご」

 1個食べると寿命が7年延びると言われている、大涌谷の「黒たまご」。箱根には数多くの源泉がありますが、たまごの殻が真っ黒になるのは大涌谷の源泉だけです。その大涌谷の中でも「たまご池」と呼ばれる場所でしか真っ黒にはなりません。実は黒くなる理由は解明されておらず、温泉の鉄分と火山ガスが反応して生成される硫化鉄によるものと考えられていました。

中学生が解明した黒たまごの真実

 しかし、ある中学生がこの定説に疑問を持ち、独自の調査を行った結果、卵の黒さは硫化鉄ではなく、メイラード反応によって生成される有機物であることが判明しました。引用:科学 黒たまごは、なぜ黒い? 中学生の疑問「定説」覆す

 メイラード反応とは一般的に食品が加熱される過程で起こり、タンパク質と糖分が反応して褐色化する現象のことを指します。ただ美しい風景を眺めるだけでなく、疑問を持ち、実験を行い、専門家に相談するという一連の行動は、若い世代に対する科学への興味を喚起する素晴らしい例です。現在研究者の私も、いつまでも知的好奇心を失わないよう心掛けたいです。

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。化学に関連する記事を書いています。

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