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鮮度を守り食品ロスを減らす!乾燥剤と脱酸素剤の賢い選び方

TOUYA化学系研究者

 世界的に大きな問題となっている食品ロス。私たちが普段口にする食品の約3分の1が、まだ食べられる状態で廃棄されていると言われています。そんな中、化学の力を活用して食品を長持ちさせる技術が注目されています。

食品の保存パッケージに入っている小さな袋「乾燥剤」「脱酸素剤」がどれほどの役割を果たしているか、ご存じでしょうか?今回は、食品保存に欠かせない「乾燥剤」と「脱酸素剤」の違いや効果、さらに再利用のポイントや注意点について詳しく解説します!

「乾燥剤」「脱酸素剤」の違い

乾燥剤と脱酸素剤は、見た目はよく似ていますが、それぞれ役割が異なります。

乾燥剤:湿気を吸収してカビや劣化を防ぐ

乾燥剤は、袋内の湿気を吸収して、食品がカビたり湿気で劣化したりするのを防ぎます。せんべいや海苔などパリパリ・サクサクした食品に使われます。

主な成分:シリカゲル、石灰など

脱酸素剤:酸素を吸収して酸化やカビを防ぐ

脱酸素剤は、袋の中の酸素を取り除き、食品の酸化やカビの発生を防止します。マドレーヌや和菓子などしっとりした食品に使われます。

主な成分:鉄粉、ビタミンCなど

再利用はできるの?

脱酸素剤は、パッケージを開封すると効力を失うので再利用はできませんが、乾燥剤は、種類によっては再利用が可能です。

シリカゲルタイプ

 吸湿後にフライパンや電子レンジで加熱したり、天日干しをすることで吸湿能力が回復します。これを利用して、靴箱や衣類の保管などの湿気取りに再利用できます。

石灰タイプ

 石灰乾燥剤は生石灰(酸化カルシウム)ですが、水分を吸収すると消石灰(水酸化カルシウム)に変化します。この状態では乾燥剤として再利用できませんが、園芸用の土壌調整剤として使う方法が紹介されることもあります。しかし、強アルカリ性のため取り扱いには十分注意が必要ですし、「あけない」と注意書きも記されていますのでおすすめできません。

(参考:農林水産省 肥料用消石灰の警告表示による注意喚起について

注意点:石灰乾燥剤の取り扱いには要注意!

 石灰乾燥剤を再利用する場合や廃棄する際には、以下の点に注意してください:

  • 発熱と発火の危険
    石灰乾燥剤は急激に水分を吸収すると発熱し、場合によっては発火する危険性があります。生ゴミなど水分を多く含むものと一緒に廃棄しないようにしましょう。
  • 強アルカリ性による刺激
    消石灰(水酸化カルシウム)は皮膚や粘膜に刺激を与えるため、取り扱い時は手袋やマスクを着用し、直接触れないようにしましょう。目に入ると失明のリスクもあるため注意が必要です。
  • 廃棄時のポイント
    乾燥剤を廃棄する際は、地域のゴミ分別ルールに従い、水分と接触しないようしっかり密封して捨てることが大切です。

まとめ:食品の鮮度を守るための重要アイテム「乾燥剤」「脱酸素剤」

 乾燥剤と脱酸素剤は、小さな袋ながら食品の鮮度を守り、食品ロスを減らすために重要な役割を果たしています。再利用可能なタイプの乾燥剤は、工夫次第で家庭内の湿気取りにも活用可能です。ただし、石灰乾燥剤など扱いに注意が必要なものもあるため、安全に使用することを心がけましょう。

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの医学系研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。科学やAIを活用したお役立ち情報を書いていきます!

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