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ご神体「キハニニニ命」は鉄道車両 茨城県の鉄道神社とはいったい何か

鉄道乗蔵鉄道ライター

 茨城県ひたちなか市のJR常磐線勝田駅と阿字ヶ浦駅の14.3kmを結ぶ第三セクターのひたちなか海浜鉄道湊線。その終着駅の阿字ヶ浦駅には引退した鉄道車両をご神体とする「ひたちなか開運鉄道神社」があることをご存じだろうか。

 勝田駅から阿字ヶ浦駅に到着すると降りたホーム向かい側には、引退したディーゼルカー(気動車)が止められており、車両の先頭にはレールで作られた鳥居が建てられている。これが「ひたちなか開運鉄道神社」だ。

終点の阿字ヶ浦駅で降りたホームの向かい側に停まっている車両が御神体(筆者撮影)
終点の阿字ヶ浦駅で降りたホームの向かい側に停まっている車両が御神体(筆者撮影)

ご神体は北海道の中古車両

 ご神体となったキハ222形気動車は昭和時代の1962年、北海道の羽幌炭鉱鉄道の発注により富士重工業で制作され、北海道の炭鉱町で活躍していた車両だ。しかし、その活躍は長くはなく、その後、羽幌炭鉱の閉山に伴い羽幌炭鉱鉄道も廃止に。1971年に、ひたちなか海浜鉄道の前身となる茨城交通湊線に中古車両として譲渡され、2014年まで活躍した。

 キハ222形引退後の2015年に発足したひたちなか市の「三鉄ものがたり実行委員会」では、2016年に鉄道神社構想を発表。その後、クラウドファンディングで461万8000円を集め、阿字ヶ浦駅構内に「ひたちなか開運鉄道神社」を建立するにいたった。神社の建立に当たってキハ222形気動車には新たに「キハニニニ命」というご祭神名が与えられた。

 神社建立の目的については、「世界初の鉄道車両をご神体」としたことを目玉として「日本三大鉄道神社」の一つとして産業遺産とも言うべき貴重な車両の保存活動を行うことで観光資源化し、湊線の沿線活性化も同時に成し遂げようというものだ。

 なお、鳥居に使われているレールについては1925年の製造で、湊線が全線開業した1928年から100年近くにわたって湊線の歴史を見守ってきたものだという。湊線は、現在、国営ひたち海浜公園までの3.1kmの延伸計画が進んでおり、このレールが鳥居となることでこれからの湊線の未来を見守っていくものなのだという。

鉄道神社の由来が書かれた看板(筆者撮影)
鉄道神社の由来が書かれた看板(筆者撮影)

ご利益は?

 2014年まで活躍したキハニニニ命ことキハ222形気動車は、気動車全国一位の長寿車両と言われており、さらに無事故で運行を続けてきたことから「長寿」「無事故」「交通安全」のご利益があるという。「交通安全」については、人生の交通安全を願い「受験合格」祈願もできるという。さらに鉄道車両には連結器がつきものであることから、人様とのよい連結を願って「縁結び」や「商売繁盛」「恋愛成就」のご利益も期待できるそうだ。

阿字ヶ浦駅全景(筆者撮影)
阿字ヶ浦駅全景(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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